A BAD FRIEND 平成17年1月19日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD35
これがオイラのバカ・トモダチだ!
よし
(住所・不定 年齢・不詳 職業・不明)

忘れてた。
こいつがいた。
しばらく消息不明だったので、
存在を忘れてたのだが、
ちょいと訳あって探してみたら、
どっこい、生きていた。
しぶとい男だ。

学校は違うが、同い年。
初めて勤めた会社で、気がついたら
横にいた。
入社式の日、オイラがしていたベルトのバックルを見て、
「あ、おれのと一緒だ」と叫んで、自分の腹を突き出した。
それからのつきあい。

バックルは、東京少年野球大会の賞品。
地区の予選大会を勝ち進んだ者にだけ与えられた
野球小僧にとっての勲章だった。

会社の寮も一緒、野球部も一緒、行動も一緒、
だから、目を付ける女性も一緒。
でも、いつもオイラが先手を打つから、
こいつは後手に回る。
それでもついてくる。
悪いことはぜんぶ教えたが、
不器用でなにも覚えなかった。

オイラがピッチャー、こいつがキャッチャー。
ドカベンみたいなブンブン丸の強打者だった。
仕事っぷりも同じで、
いつも鼻の頭に汗を光らせ闇雲に走り、
ホームランを打ったり、三振をしたりしていた。
「サイ」みたいな男で、単純明快、
ただひたすら真っ直ぐ突っ走る。
それがこいつの長所であり、
また短所でもあった。
ジョサイはないが、サイカクもない。
バクサイもないし、ブンサイもない。
ただ、ショウサイとアイサイには恵まれた。
若くして独立し、
そこでもまた成功と失敗を繰り返したが、
人間万事サイ翁が馬。
いま、サイタマでしっかり再起している。
気持ちのいい男だ。