A BAD FRIEND 平成17年3月1日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD36
これがオイラのバカ・トモダチだ!
うー
(住所・不定 年齢・不詳 職業・不明)

大学時代の悪友。
同窓生だけど3つ年下。
それはオイラに原因があるのであって、
こいつが進んでるわけじゃない。

当時、大学闘争激しく、学内はバリケード。
授業はなし。
だから、オイラは山へこもり、
ロッククライミングさんまい。
こいつは、都内の某超二流ホテルに
住み込んでレストランでアルバイト。
その宿舎にもレストランにもよく行った。

黙って座れば、こいつが来て、
注文をとる。
当時、つきあっていた彼女を連れて
ステーキをふたつオーダー。
食べ終わるとまたこいつが来て、
アリガトウゴザイマシタ!と
頭を下げて、
あとはうまく処理してくれた。
いいやつだった。
3畳ひと間の宿舎では、よく
こいつのギターを聴いた。
ボブ・ディランや、ジョーン・バエズ。
千鳥ケ淵の桜や新緑を眺めながら
『風に吹かれて』をふたりで唄った。

オイラがヨーロッパ・アルプスへ行くとき、
学内でこいつがギターの弾き語りをやり、
帽子に金を集めてくれた。

オイラが鎌倉の海の家でアルバイトしている
とき、こいつは若ーい彼女を連れてきて、
芥川賞の小説のようなことをやってた。

それから、こいつは旅に出て、消息不明に
なった。
どこかでのたれ死んだと思っていたら、
何十年ぶりかで電話してきて、
「おれは、お前におごってもらった
カツ丼の味がいまでも忘れられねえ」
と言った。
ステーキのことは覚えてないと言う。
どっちも、やってあげたことは
なにも覚えてなくて、
やってもらったことはいつまでも
忘れないでいる。
声は昔と変わってなかったが、
いまは真面目に働いているのだという。
時はひとを変えるのだろうか。