A BAD FRIEND 平成22年9月2日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD37
これがオイラのバカ・トモダチだ!
つーけーさん
(住所・不定 年齢・不詳 職業・不明)

バカ・トモダチではなく、
我が人生の師匠である。

某出版社のカメラマン募集広告を見て
就職試験を受けに行ったら、
そこで試験官をしていた。
作文を書いたら、
「面白いからお前おれの編集部に来い」
と採用してくれた。
初めのうち原稿が思うように書けずに悩んだが、
この人の書いた文章を原稿用紙に書き写していたら、
書き方が分かってきた。
もの書きの名手だった。


全国あちこち取材にお供して、
取材の仕方も教わった。
会社を抜け出してビリヤードへ行ったり、
将棋をしたり、ゴルフもずいぶん一緒にしたが、
そっち方面はからきしだらしなかった。
でも、
「酒を飲むときはな」とか、
「女なんてものはだな」などと、
酒の飲み方やほかの大事なことは
きっちり教えてくれた。

東京マラソン(第2回目)を走った日、
悲報を聞いた。
翌日、長崎へ帰る日だったが、
自宅へ駆けつけることができた。
「前の夜、急にお寿司を食べたいというので、
一緒に行って、お酒を飲んで、
いつもと変わらずに寝て、
翌朝起きてこないので見に行ったら静かに
寝ていたので。で、しばらくたってまだ起きて
こないのでもう一度見に行ったら…」
と奥さま。
「お前、人間死ぬ時はな…」と
いつもの声が聞こえてくるような、
安らかな顔をしていた。