OH!JAPANESE オドロク尾戸録 金子農園
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その4
〔かってくる〕
 移住して間もない頃、荒れた畑を借りてクワで開墾していたら、近所のバアサマがやってきた。
 「そんな、いちいち手でやってたら大変じゃろう。園長が確かチェーンブロック持っとったから、それをかってきてやったら、そのほうが早かろうに」
 「はい、でも、そういうもの買ったら高いでしょう。うちはお金ないから、手でやりますよ。体は鍛えてますから、このくらい大丈夫です」
 「金なんか払わんでよか」
 「え?」
 「なんで、金なんかいるもんか、かってくるのに」
 「買えばお金がいるでしょう」
 「いらん」
 「いらない?」
 「いるかッ。かってくるだけやもん」
 「は?…?」
 
 そう。「かってくる」とは、「借りてくる」のことなのであった。
 じゃ、「買ってくる」は何て言うか。「こうてくる」だ。
 うーん、こうてくるは分かる。関西の人が言ってるのを聞いたことがある。
 でも、かってくるは、分からなかった。そのあとも、何度か同じことを言われ、何度も戸惑った。それなのに、いまだに自分では、借りてきたことをかってきたとは言えないし、買ってきたことをこうてきたとは言えないでいる。
 まだ聞いたことないけど、「勝手にしやがれ」は、こっちでは、「こうてにしやがれ」って言うんだろうか。ジャン・リュック・ゴダールもびっくりするだろうな。
 んなわけないか。  

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
ハチに刺されたら目薬をぬれ
 医学的に正しいのかどうか、知らない。ほんとかいな、と思う。
 でも、近所の保育園の保母さんはみな、園児を散歩に連れて行くとき、ポケットに目薬を入れていくというから、効くのかもしれない。ま、機会があったら試してみてください。ただし、目にさしても効き目はないそうです。