OH!JAPANESE オドロク尾戸録 金子農園
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その7
〔かるか〕
 尾戸は焼酎文化圏。。飲むと言えば焼酎のこと。
 日本酒も飲むことは飲むが、10人寄れば9人は焼酎。それも、この辺の人たちが飲むのはほとんど20度の軽い焼酎。25度の焼酎はあまり好まない。だから、ウイスキーなんて飲む人はまずいない。いないからまあ、助かるけれど。
 「あれ、金子さんはウイスキーを飲むと?」
 「うん、おれは昔からずっと、ウイスキーばっか」
 近所の人が初めてうちへ来ると、たいていびっくりする。
 「飲む?」と聞くと、ほとんどのひとは、「焼酎のほうがよか」と手を振る。
 「たまにはウイスキーもいいんじゃない?」と勧めると、
 「なら、一杯だけ」というのでついでやる。
  
 「かるか!!」
 「軽い? これ45度よ」
 
 尾戸はまた、甘かろう、うまかろうの文化圏。甘いものがうまいもの。砂糖をふんだんに使うのがもてなしの心。煮物なんか、これでもかというほど砂糖をぶち込む。コーヒーなんか、黙っていたら砂糖をスプーンに4杯くらい入れてくれる。(ああっ、やめて!)。
 醤油も甘い。もうこれ何なの、というくらい甘い。ぺっと吐き出すくらい甘い。
 近所の人が来たとき、刺身を出すと、一口食べて、
 「かるか!!」と叫ぶ。
 「軽い? これ関東の醤油よ」
 
 そう、この辺の人が言う、「かるか」は、「辛い」の意味なのだ。
 初めは、かるかと言うから、軽いのことだと思っていたが、どうもおかしいと気づいた。
 辛いはかるか、軽いもかるか。泡盛もかるか、ウオッカもかるか。キムチもかるか。じゃ、激辛ラーメンは激かるラーメン、辛口の批評は軽口の批評か?   

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
船に乗ったら口笛吹くな
 嵐を呼ぶんだって。ほんとかな。