38 チェーンソー

Q371:こんにちは。佐賀のAです。 A371:ああ、しばらく。


Q372:こんど、尾戸に住むことになりまして、その挨拶に。 A372:えっ、ほんとに。尾戸のどこに。へー、あそこは確かYさんの土地だったと思うけど。


Q373:はい、この前ここにお邪魔したあと、役場に行って相談したら、Yさんを紹介してくれて。 A373:あ、そうなの。知らなかった。あそこは海も見えるし、いい場所だよね。いまは藪になってるけど、もともとはミカン畑だったから、木を払えばきれいになるよ。で、きょうは契約かなんかで。


Q374:いや、契約はもう済んで、登記はまだですけど、藪を払おうと。 A374:結構、太い木も生えてるから、チェーンソーがないと大変でしょう。あ、買ってきたの。それ、新品じゃないの。使ったことは。


Q375:一応、説明書には目を通したんですけど。 A375:チェーンソーは、気をつけないとアブナイからね。この辺にも指のない人が大勢いる。みんな、チェーンソーでやられて。じゃ、いまから一緒に行って教えますよ。


Q376:すみません、お願いします。 A376:(現地で)まずね、キックバックっていうのがアブナイの。歯の先端の上部が木に触れると、こうやってバーンと跳ね返って顔を直撃するから。だから、絶対それだけは避けないと。


Q377:ああ、そういうことなんですか。説明書ではいまいち分からなくて。 A377:それと、初めにまわりの小さな木をナタで払ってきれいにしてから作業にかかること。邪魔なものに歯が引っかかると危険だから。そして、必ず木を倒す方向の安全を確かめる。木が倒れそうになって傾いてきたら、素早く反対側に身を除ける。カズラがからんでいたり、強い風が吹いていたりすると予期しない方向へ倒れることがあるから、それも注意しないと。じゃ、実際にこの木を切ってみたら。


Q378:こうですかね。あれれ。 A378:あ、エンジン切って! あのね、木の倒れる方向をちゃんと計算しておかないと、いまみたいに傾いてきた木にチェーンソーが挟まっちゃうの。細い木ならこうやって手で押せばチェーンソーははずれるけど、太い木だったらにっちもさっちもいかなくなっちゃう。おれも何回もやった。


Q379:これは慣れるしかないですね。 A379:そう、でも、慣れた頃がまたいちばんアブナイってことも憶えておかないとね。なんだったら、きょうはおれが切ってやろうか。


Q380:いや、自分に切らせてください。 A380:あ、そうだね。自分でやるのが楽しいんだもんね。じゃ、くれぐれも気をつけて。