DOCUMENT 都会の常識 田舎の非常識
	田舎暮らしを夢見る人へのQ＆A
	８０　海の見える喫茶店
	Q７９１：おお、さぶ！	A７９１：いらっしゃい！
	Q７９２：あれ、景色がよくなりましたね。カウンターから海が一望だ。	A７９２：曇りガラスじゃ外が見えなかったから素通しのガラスに代えたのよ。
	Q７９３：これなら、テラスに出なくても海がぜんぶ見えますね。	A７９３：うん、暖かけりゃ外が気持ちいいけど、冬は寒いからね。でも、硝子代で１万４０００円もかかっちゃったよ。
	Q７９４：いいじゃないっすか、それくらい。これからガポッと儲けるんだから少しくらい投資もしなくちゃ。	A７９４：儲けやしないよ。だいいち儲かるわけないだろう。お客さんは来ないし、たまに来たと思えば友達や知人ばかり。知った顔じゃお金なんかもらえないよ。お前だって、コーヒー代置いて行くか？
	Q７９５：いや、おれは弟子でしょう。で、コーヒーはいくらなんですか。	A７９５：そこに書いてあるだろう。
	Q７９６：あ、こんなもんぶら下げちゃって。３００円ですか。	A７９６：手づくりのクッキー付きでね。んなら高くねえだろう。
	Q７９７：いやー、高いんじゃないですか。きのう市内で６５０円のランチを食べたらコーヒーも付いてましたよ。	A７９７：バカヤロ。そんなわけのわかんねえランチと一緒にするない。こちとら、この絶景が２００円するんだ。
	Q７９８：うん、確かにこの景色はほかにない。	A７９８：な、これを眺めりゃ高かねえだろう。
	Q７９９：でも、看板も何も出てないから、ここでコーヒーが飲めるなんて誰にも分らないでしょう。	A７９９：そこよ、モンダイは。看板なんか出したらいやらしいというか、だいいち恥ずかしいだろう。あそこはいいよって、クチコミでぼちぼち来てくれりゃそれでいいのよ。
	Q８００：それじゃ儲かるわけがない。	A８００：だいたい、あんまりお客さんに来られたら、ほかのことができなくなって困っちゃうもん。だろ？

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