自給自足
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物語
自給自足で
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人生の楽園


      シイタケの駒を打つ 28 山菜を採る (タラの芽、シイタケ、タケノコ)
 畑と海の幸だけでなく、ぼくが住んでいる尾戸というところは、山と里の恵みも受けられる。
 裏山からは、栗、桑の実、イタブ、ヤマブドウ、タラの芽、キクラゲなどが採れる。桑の実はジャムやジュースに、イタブはドライフルーツにしてケーキに使う。ヤマブドウはジュースやワイン、タラの芽はもちろん天ぷら。
 うれしいのはタラの芽。こっちの人は、どういうわけか、タラの芽は食べない。だから、採り放題。道ばたにいっぱいなっている。千葉にいたときは、毎年、桜が咲く季節になると、車で1時間も掛けてタラの芽を採りに行っていた。誰かに先を越されて地団駄踏んだこともある。それが、こっちは好きなだけ採れる。
    春になれば、家のまわりに、ワラビ、ツワブキ、セリ、ヨモギなどがいくらでも出てくる。 ワラビやツワブキは、たくさん採れるので、大村の市場へ出荷する。近所の小学生なんかも、下校の途中にワラビやツワを摘んで、小遣いにしたりしている。ぼくは、仲良しの小学生に秘密の場所を教わって、一緒に採ったりした。
 セリは、おひたしにしたり、ごま和えにしたり。
 ヨモギは、モチに入れたり、お茶にしたり、お風呂にも入れたりする。
 ぼくは、育ちがよすぎたせいか、高級と言われる食べ物が、どうも体に合わない。昔から、海老とか松茸がダメなのだ。もっとも、最近、自分で捕った海老は食べられるようになったが。
 松茸は、ごちそうしてくれると言われても食べない。寿司や、うなぎ、焼き肉なんかだったら、ごちそうしてくれると言われたら、すぐ飛びつきます。嘘じゃありません。
 ぼくは、松茸よりシイタケのほうがうまいと思う人間である。
 したがって、シイタケは自分でつくることにしている。菌の入った駒を買ってきて、クヌギの木を切ってきて、その木にドリルで穴を開け、トンカチでトントンと駒を埋め込みます。1年おきに打つ。2年目からシイタケがおもしろいように採れます。春と秋の2回、おもしろいように出てきます。
 雨の降った翌日、裏山に並べたホダギを見て歩くと、大きくなったシイタケがいっぱい出ています。普通、お店に出ているのは小さめの品のよいシイタケですが、ぼくは、自分の手のひらよりも大きいシイタケを採って歩きます。味は、大きくても小さくても変わらないので、大きくなってから収穫するんです。
 採りたてを、バター炒めにして食べたら、いくらでもお酒が進みます。
 タケノコは、近所の人が持ってきてくれます。
 タケノコ掘りはおもしろいので、竹林を持っている知り合いに、掘らせてもらうこともあります。タケノコ掘りも、慣れた人にはかないません。ぼくはタケノコの先端が見えていなければ見つけられませんが、上手な人は見えてなくても分かるんですね。
 タケノコはふつう、煮るか、みそ汁に入れて食べるでしょうが、掘ってきたばかりのタケノコは、刺身で食べられるんですね。まあ、田舎じゃないと、これは食べられないでしょうが。