自給自足
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物語
自給自足で
自然に暮らす
人生の楽園


       30 家畜を飼う (ヤギ、ニワトリ)
 自給自足の暮らしをするには、家畜を飼うことが不可欠じゃないかと考えて、ヤギとニワトリを飼うことにした。
 ヤギからは乳を恵んでもらう。ニワトリからは玉子をいただく。
 牛を飼わないかと近所の人から勧められたが、牛はちょっと大きすぎて手に負えないんじゃないかと思って遠慮した。馬はどうかとも言われて少し考えたが、世話が大変だぞとほかの人から言われてやめた。イノシシも飼うなら上げるよと言われた。でも、イノシシはきれいな水が豊富でないと飼えないとわかりあきらめた。アルパカも飼うならもらってあげると言われたが、「アルパカねえ」と悩んだ末、お断りした。ロバはいいんじゃないかと思って知人に相談したら、「ロバは頑固で、イヤだと思ったらテコでも動かないし、気にくわないとつばを引っかけるよ」と脅かされて、これもやめた。役場なんかへ行くとき、ロバにまたがって行ったら、かっこいいだろうなと思ったのだが、まあ、冷静に考えたら、やめてよかったかもしれない。
 
    ヤギは飼ってよかった。初めに飼ったヤギはよく乳が出て、毎朝、しぼりたてのお乳を飲ませてもらった。もちろん、暖めて飲んだ。「ヤギの乳は臭い」と聞いていたが、別に気にならなかった。牧場をやっている知人に聞いたら、生の草だけをやっていると臭くなると教えてくれた。
 乳搾りは、どういうわけか妻よりもぼくのほうが上手で、ぼくの役目になった。毎朝休めないのでちょっとつらかったが、乳をもむのは嫌いではなかった(理由は、ご想像にまかせます)。
 ある朝、バケツにしぼった乳をそのままにして、ちょっとの間その場を離れ戻ってみたら、バケツが空っぽになっていた。そばで、愛犬ゆめが口のまわりを真っ白にして、いかにも満足そうな顔をして座っていた。
 ヤギの乳で、妻はカッテージチーズをつくった。
 初代ヤギが死んでしまったので、二代目をもらってきた。
 雄雌つがいできたのはいいのだけれど、どちらも肉用の小柄なヤギで、乳は人間の分までまわらないのだった。結局、ペットになった。
 ペットだから、名前を付けた。雌がアリス、雄がテレス。小屋に『アリスとテレスの家』と看板をぶら下げた。
 テレスは、もらってきたときは痩せて貧相な顔をしていたが、環境が適したのか、やがて元気になって暴れ出した。角がかゆいのか、遊んでいるのか分からないのだけれど、大きな角で小屋に突き当たり、小屋をバラバラに壊してしまう。とにかく乱暴。手に負えず困っていたところ、「ヤギがほしい」という人がきたので、上げてしまった。
 あとで聞いたら、その人は新しくつくった小屋を1日でバラバラにされて、1週間もしないうちにほかの人に引き取ってもらい、その引き取った人ももてあまして、すぐ知り合いのところへ連れてきた。その知り合いというのが、ぼくが仲良くしている保育園の園長で、「これは金子さんとこのヤギじゃなかね」と言ってきた。
 園長もしばらく飼っていたが、角で尻をつつかれ、怒って山に捨ててきた。ところが、元わが家のテレス、ゴルフ場のフェアウェイに現れ、ゴルフ場からうちへ電話が入った。「それは園長のうちのヤギだよ」。翌日、園長のところに警察から電話が入った。 
 
      元気なテレスは、子供を残してくれていた。それがカミュとサガン。
 カミュがまた、父親に似て超元気。そこへまた、「ヤギがほしい」という人が現れて、もらわれていった。助かった。風の便りに聞くと、似たような人生を歩んでいるらしい。
 いま、わが家には、カミュとサガンの間に生まれたハイジと、その子供のサクラがいる。2匹とも雌なので安心だ。
 
         ニワトリは、初めウコッケイを5羽もらって飼っていた。1個500円などと言われたこともあるウコッケイの玉子を、ばくは毎朝、ご飯にかけて食べていた。ウコッケイの玉子は、チャボの玉子くらいの大きさしかなかったが、黄身の大きさは普通の玉子と変わらなかった。
 ところが、ある日、イタチにやられて全滅してしまった。
 そのあと、しばらく名古屋コーチンを飼い、いまは対馬地鶏6羽とチャボを2羽飼っている。対馬地鶏はことのほかうまいらしいが、これもなついているので締められない。
 
 チャボは、すぐ玉子を抱く。誰の玉子でも抱いてくれる。対馬地鶏の玉子なんか抱けるか、などとは言わない。けなげに抱き続け、21日経てば、ヒヨコにしてくれる。それが成長してまた、玉子を生んでくれる。
 ヤギは草だけ食べさせておけばよいから、えさ代は一銭もかからないが、ニワトリはそうはいかない。でも、5羽の雌はほぼ毎日、玉子を生んでくれるから、二人では食べきれない。人に上げれば喜ばれるし、お客さんにも食べてもらえるので、えさ代なんかたかがしれている。
 産みたて玉子のうまさは、産みたて玉子を食べた人にしか分からないだろうと思う。