NEWS LETTER
Vol.10
 平成13年6月28日発行

流れ
 
雨が続きます。百姓にとって、雨はありがたいのですが、こう毎日だとさすがに太陽が恋しくなります。長崎では、梅雨のことを「流れ」と言います。いや、この辺の地域だけの方言かもしれませんが。その流れという言葉が、言い得て妙というか、何もかも押し流してしまうような、すごい土砂降りの雨が降ります。
 きょうも、朝から雨。お陰でこのところ、ホームページの追加が続いてます。金子農園は、土曜、日曜が休みではなく、雨の日が休日なのです。晴耕雨読。だから、雨の日は、結構うれしいんです。父ちゃんは雨に煙る大村湾を眺めながら、人生について考えています。人生って言ったって、なに、たいしたことじゃありません。「人生は、やっぱ、酔生夢死だよなあ」なんてんですから。 
桃、桃ジャム、桃ジュース
 今年は、桃がたくさん採れました。昨年は、カラスにやられたので、防鳥ネットを張ってしっかり防ぎました。摘果で半分くらいは落としたのですが、桃の摘果は首がかゆくなって、父ちゃんは途中で「やめた、やめた」。そのため、少しならせすぎで、小振りになってしまいました。桃は栽培するのも、収穫するのも、送るのも難しく、扱いに神経を使います。友人20数名に送りましたが、何人かから「傷物があった」と言われました。無農薬なので、しかも食べ頃を送ったので、そういうことになってしまいました。申し訳ありませんでした。でも「うまかった!」という声もたくさんいただきました。
 郵送料が安ければ、もっと大勢の友人に食べてもらいたいのですが、貧乏百姓なので、そんなには送れません。母ちゃんが、ジャムやジュースもたくさんつくりました。これまた、「うまか!」です。桃は、色と形がいいですね。また、桃と言えば早口言葉。ふともももももももものうち。
南極の氷でオンザロック
 佐世保のMさんが、南極の氷を持ってきてくれました。南極観測船「しらせ」に乗っている友人の隊員からいただいたものだそうで、「金子さんは、ウイスキー党だから」と。早速、ターキー・オンザロックス。
 かざしてみると、満天の星空のような、白い小さな気泡が無数にちりばめられて、それが「チュリチュラチチチ、チリチリシュシュリ…」と、音楽を奏でている。あるいは、何か古代人が小声でおしゃべりしていると錯覚させるような、1万年前の気泡がとけてはじける不思議な音が…。
田んぼの草取り
 田植えをしてからちょうど1ヶ月。苗も順調に育ってもう、30センチくらいに伸びてきました。株も太く、楽しみです。稲も順調なら草も順調。そこで、母ちゃんと二人で草取り。近所の人は「そんな無理せんで、除草剤をかければ1時間もかからんのに」と親切に言ってくれるのですが、なに、一日で済むこと。いまでは誰も使わなくなった超年代物の手動草取り機をもらって修理し、それを押してエンヤコラ。
 しかし、まあ、疲れることは疲れる。汗びっしょりかいて、桃を食べて、また汗かいての繰り返し。昼飯食べて夕方まで。ズボンはどろどろ、顔も泥だらけ。「いやー、百姓してるなあ」の一日でした。
 ところで、畦の脇の草むらからいきなりカモがバタバタと飛び立ったので、もしやと思ってのぞいてみると案の定、カモの巣。巣には卵が9個。さてどうしようかと迷ったのですが、これも何かの縁カモ、と5個だけ頂戴。家に持って帰ってチャボに抱かせました。
証拠写真
 5月に下関の市民会館でピアノコンサートをしたと言ったら、大勢の友だちから、「嘘だろ」と言われました。たまたま、母ちゃんから撮ってもらった写真がフィルムが古かったらしく、うまく写ってなくて証明もできず、ひとり泣いていました。そこで、主催者の事務局に電話したら、送ってくれました。そうです、これがその晴れ姿です。どーだ、まいったか! グランド・ピアノだぞ。
 これでも信用しないってんなら、ビデオも持ってんだぞ。「イエスタデイはやさしい曲だからな」とほざいたやつもいた。そういう根性の悪いやつには、桃は送らねえ。 
二人目の孫
 6月27日、娘の舞が、男の子を出産したそうです。母子ともに健康とのこと。ひと安心しました。「ママに似て目がぱっちり。長崎のおじいちゃんにもそっくり」と、茅ヶ崎のばあちゃんから電話がありました。田口さんが送ってくれたイスラエルの赤ワインと、副島が送ってくれたジャックの最高級品、シングルバレルで、母ちゃんと乾杯しました。