平成16年4月1日 Vol 100
よかさ!
桜の季節には桜を眺めながら
 悪友へ。
 千鳥ヶ淵の桜はどうでしたか。彼女と花見に行くと言っていたけど、テレビではハルウララの陽気と報じていました。さぞかし、大勢の花見客で賑わったことでしょうね。
 千鳥ヶ淵と言えば、私にもいくつかの思い出があります。君子さんに聞かれるとちょっとヤバイことになるので詳しくは言えませんが、昔、その近くにフェアモントホテルってのがありましたよね。いまはもうなくなったと聞きましたが、そこの部屋から桜を眺めたことがあるんですよ。夜桜でしたが、夜桜ってのはどうしてまた、どこで見ても怪しく映るのでしょうか。
 清水の祇園をよぎる桜月夜…ていうのも、実は私、若かかりしときに経験しておりまして、桜というのはいやいやどうして、罪深いものでございます。
 さて、尾戸の桜はぜんぜん罪深くなく、素直な淡い桜色を八分ほど開かせて、ちょうど今夜あたりが見頃でございます。ところが、どういうわけか夕暮れ時よりやらずの雨で、仕方なく枝を三本ほど折ってまいりましてジャズバー「ヘミングウエイ」で、にわかの夜桜としゃれ込みました。
 
 風呂上がりには、「とりあえずビール」です。気分は生といきたいところですが、ぜいたくは言えません。サザエの刺身とスーパードライ350ccで、マイルスを聴きながら、君子さんの手料理を待ちます。
 来ました。
 「牡蠣と初採りアスパラのくず入りスープ白ワイン風味」
 「初物スナックエンドウのサラダ」
 「ノラボウのおひたし」
 「高菜漬けと昆布の油炒め」
 「メバルの煮付け」
 そしてメインは、「牡蠣の磯部揚げ」(アオノリは今朝採り)
 焼いた檜の丸太テーブルに、タイ製の薄茶テーブルセンター。箸置きは4月限定の陶器サクラ模様。明かりはぼんやりともりゃいい。蛍光灯はいけません。
 送っていただいたスペイン・ワイン、「VINA IZADI」を開けます。
 この前も白状しましたが、私は味に関しては表現の言葉を持ち合わせていません。ただ、「うまい!」「うっめー!」を繰り返すばかりの野暮天です。でも、君子さんは違います。結構、言います。
 トク、トク、トク…。まずは香りです。
 「うーん」。いつも飲んでいる680円のやつと明らかに違います。違いは分かるけど、言葉が見つかりません。言葉は見つからないけど、この香りに合う音楽は即決しました。
 ジム・ホールの、「アランフェス協奏曲」。これで決まりです。
 「桜に乾杯!」
 「なんか、香りをかいだときはさわやかだなあと思ったけど、含んだ瞬間、山の中に入って落ち葉の匂いをかいだときのあの天然酵母の白い菌のいい香りと似てる。おいしーい!」
 「うん、渋みもあるのにさっぱりしていて、油っぽい牡蠣によく合うよな。うっめー!」
 とゆーようなわけで、敵ははしたなくガブガブ。「自分ばっか飲まないで、おれにもついでよ」
 とゆーようなわけで、あっという間にカラ。「ああ、おいしかった。悪友様、ご馳走様でした」
 
 「おっ、ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥだ。そうなりゃ、そこのジェントルマン・ジャックを取ってよ。それと氷。うん、ロックで。これは、ジム・ホールもいいけど、やっぱ、アート・ペッパーでしょ」
 
性格変わりました
 
尾戸へ来て10年になりました。
 みんなが父ちゃんに区長をやれと言います。正直言って、そういうの好きじゃないんです。昔から。でも、みんながやれというのでやることにしました。選挙で選ばれちゃったので逃げられないということもあるのですが、やらされると思えばつらくなるので、恩返しのつもりで一生懸命勤めることにしました。
 区長代理は2回やりましたので、区長の大変さは近くで見て知っています。
 とりあえず、4月はいまのところ分かっているだけでこんな予定が入っています。
 4日、新旧役員の引き継ぎ。
 7日、尾戸小学校入学式。
 9日、戦没者慰霊祭。
 13日、第1回区長会。
 25日(予定)、中央区初会。
 ほかにも、日時未定のものがもろもろ…。いまも社会福祉協議会から電話が入って、「明日、デイサービスのお年寄りをお花見で尾戸へ連れて行くので、公民館を貸してほしい」とのこと。
 「ハイ、ハイ、分かりました。では12時に公民館の鍵を開けてお待ちしております」。

「尾戸からの手紙」休載

 なわけで、忙しくてモズク漁も行かれない。下の海でみんな採ってるのに。刺し網も解禁になったのに入れに行く時間がない。かごも入れっぱなしだ。タケノコ堀りも行けない。正しいお花見もまだ。講演ももうすぐだし、東京からお客さんが2組来る。歯医者も行かねば。ピアノが練習できない。10周年のパーティもしなけりゃいけない。新調のパソコンがだだをこねる。肩が痛い。膝も痛い。君子さんが車をおしゃかにしてくる。裏の作業場が雨漏りする。うー、もうキレそっ。