平成16年5月21日 Vol 104
よかさ!
買うたほうが安か!
 連休が過ぎると、米づくりの準備が始まる。
 ことしは11日に種まきをした。
 15日に田んぼの草を払って、17日に初田起こし。このあと、代かきをし、田植えと続く。忙しいけれど、苦ではない。水の管理や、夏の草取りなども大変だけど、稲が育つのを見るのはこの上ない楽しみ。
 秋になれば台風や病気の心配をしながら、やがて稲刈り。あっという間だ。天日干しをして脱穀。そして、新米のうまさ極上。
 自分たちでつくったお米。いや、違う。お天道様が恵んでくれたお米だ。
 こんなにおいしくて、こんなに楽しい米づくりを、いま放棄する農家が増えている。誰もが、「買うたほうが安か!」と吐き捨てるように言う。そのうち、それもそう遠くない日、日本の原風景と言われた田植えや稲刈りは、おそらく簡単には見られなくなるだろう。
 
 みんなで、安いお米を食べませう。
 みんなで、まずいお米を食べませう。
 田んぼで汗を流すより、買ったほうが安いから。
 きつい仕事をするよりも、買ったほうが早いから。
 お米なんか、どれを食べても同じだよ。
 マヨネーズ、かけて食べればうまいもの。
 コンビニのおにぎり、うまいもの。
 
 
いちご拍手を
 
部屋中がいちごの香りになって、いちごのジャムがいっぱいできた。
 無農薬のいちごだから(だと思う)、色も赤く、味も濃い。
 パンに塗ったり、ヨーグルトに入れたり、これからしばらくは朝のお楽しみが続く。毎年、心待ちにしていてくれる友だちも多い。
 ことしは、『いちご
拍手をもう一度』と名付けた。
 もうひとつ、『15JAM』というラベルも貼った。
 
 K子ちゃんが来たので、もうひとりのK子ちゃんにもあげてと1個ずつ持たせた。
 「いちごに拍手をもう一度ですか、ふんふん。ジャムにしてもう一度、いちごの味を楽しむってわけね。私はこっちをもらう」
 「なんで、そっちがいいの?」
 「だって、こっちの15JAMって、去年(15年)のジャムってことでしょ」
 
 あのねえ、「15JAM」ってのはね、「ジュウゴ」じゃないの。「イチ・ゴ」なの。
 「えっ、あ、そう。イチ・ゴ、ね。あらやだ、ハハハ」
 それとね、「いちご
拍手をもう一度」っていうのはね、意味はそうなんだけど、もうひとつ、わかんねえかなあ、もちょっと考えてくんないかなあ。おれも一応考えてつけてんだからさあ。 え、わかんない? あ、そう。 ♪いつか君と行った 映画がまた来る…
 「えっ、いちご白書…。ハハハハハ」
 だめだ、こりゃ。

日本百名山
 
悪友のガンちゃん、高校時代から山を登ってまだ、懲りずに登っている。去年、深田久弥の日本百名山を完全踏破して、いまは二百名山を目指している。で、今回、九州の山をまとめて登っちゃおうと同好の仲間とやって来た。雨にたたられ9日間で5つしか登れなかったと電話してきて、普賢岳の帰りに寄ってくれた。ヒマラヤ・トレッキングの写真や地図をわざわざ持ってきて、「よかったぞ」と見せつけてくれた。「絶対、行ったほうがいいよ」とけしかけてくれた。「二人で50万円だよ」。
 「だってさ、君子さーん!」

露天風呂開き
 例年、連休に露天風呂開きをするのだけれど、ことしは雨が降ったり熱を出して寝込んだりということがあって、まだ暖簾を出していなかった。東京から山男が来るというので急遽、オープンすることにした。
 ところが、この山男たち、二人とも雨男のようで、傘を差しての極楽湯となった。脱衣所には囲いはあるが屋根はない。なので、玄関で素っ裸になり、庭を突っ走る。「きゃっほー!」
 
取材記者
 頼まれれば何でも引き受ける父ちゃん、こんどは取材記者をやってくれと頼まれて、やってしまった。
 ま、昔取った杵柄だから戸惑うことはないけれど、10年ぶりなので胸わくわく。ペンとノートを持って、勇んでインタビューにお出かけ。料理関係の雑誌なので、取材相手は料理人。
 「で、そのあと、どうされたんですか。そうですか。じゃ、それがそもそものきっかけで…なるほど」などと、切り込んでいく。このところ、取材されることばかりでうんざりしていたけれど、やっぱり取材はされるより、するほうがいい。座り心地がいいと言うか、性に合ってるような気がする。取材をするのに作戦を練り、原稿を書くのに頭をひねり、それが自分の作品として出来上がり、それに反応が付く。時には辛口の批評がついてくることもあるけれど、それにしても、いい仕事だなと改めて思う。 若い頃、そういうクリエイティブな仕事をさせてもらったのは、本当に幸運だった。いまも、それは生きている。男は、若いとき、できるだけ悔いのない仕事をした方がいいと思う。できるだけ誇りを持てる仕事をした方がいいと思う。運にもよるけれど。