平成19年9月7日 Vol 162
よかさ!
本は寝て読め
 果報は寝て待てと昔から言うので、寝て待っていたら、ほんとによい知らせが向こうから飛び込んできた。
 父ちゃんが書いた電子ブック『田舎暮らしの鉄人』(光文社・mm文庫)が売れたのだ。てゆーか、「買ったぞ!」というヤツが現れたのだ。いや失礼、ヤツなんて言っちゃいけない、お買い上げになってくださった方がいらっしゃったのです。
 父ちゃんの高校時代の友だちの、コダマ君というのがその御仁で、そのコダマ君が1冊買ってくれた。ほかからはまだ「買ったぞメール」は届いてない(ほんとに冷たいやつらばかりだ)から、いまんところ実売部数はその1冊だけなんだけど、1冊でも売れればうれしいじゃないの。
 定価が500円で、その15%が印税で入るので、1冊売れれば75円が父ちゃんの銀行口座に振り込まれることになっている。75円だからと言って笑っちゃいけない。100冊売れれば7500円、1000冊で7万5000円、1万冊で75万円、10万冊で…んな売れるわけないか。
 ま、そんなわけで、これからも父ちゃん、電卓を脇に置いてずっと寝て待つことに決めたので、たいした用事じゃないのに電話してきたり、わけもなく遊びに来て起こしたりしないでね。
 えーと、1000冊で7万5000円ということは、2000冊で15万円でしょ…。

 その友だちのコダマ君、(あ、そのコダマというのはアソコのタマが小さいからついたあだ名ではなく、名字がコダマ)なんだけどさ、買ってくれたから言うけどなんて言うか父ちゃんの友だちにしては珍しくデキたヤツでね。つい最近、高校時代の仲間だけの同窓会があって、場所は新宿の天狗という安い居酒屋で、父ちゃんは安い居酒屋はなんつーかガラに合わないから欠席したけど、そこに8名が集まった。コダマ君を除く7名はへそ曲がりの飲んべえばかりで、しかも全員が工業高校の電気通信科卒業だというのに、パソコンのことなんか何も分からないアナログ人間ばかり。言ってみれば世田谷経堂の造成地から出てきた化石の標本みたいな連中。
 なので、優しいコダマ君は、もうろくアナログ親父(略して、もろアナ)のためにわざわざ〈電子ブックの正しい買い方と読み方〉を3時間も掛けて事前に作成し、プリントし、これを持って行ってみんなに配った。
 案の定、みんなは「えー、電子ブックって、パソコンじゃなきゃ読めないのかよ〜」などと声を上げ、「だいたい金子はよお〜、昔からよお〜」「要領がよくてよお〜」「そうそう!」などとわめき散らし、プリントも蹴散らし、ビールの泡を飛ばしていたらしい。
 ま、確かに父ちゃんもそうだけど、パソコンで本を読むなんて65歳過ぎのオヤジにはなかなか出来ることじゃない。父ちゃんもこの頃、腰が痛いせいもあって本を読むときは必ず畳に寝転がって読んでいる。果報は寝て待て、本は寝て読め、のスタイルだ。
 今年の夏はバカ暑だったので毎日、水風呂につかって読んでいた。ただ、この水風呂読書は妙に気持ちがいいので本を読みながら眠ってしまうのが欠点。本が濡れちゃうのよ。ま、図書館で借りてきた本だからいいけど。(よかないか)。
 コダマ君も、「安楽椅子で読む」または「寝転がって読む」のスタイルとか。で、コダマ君は考えた。なんとか、電子ブックを寝転がって読めないものか。携帯できるリーダーを買えば4万円はする。「いくらなんでも4万円ではな〜っ!」。
 そこで編み出したのが〈コダマ式・電子ブックを寝転がって読む方法〉。
 えらいねえ。下に紹介するね。
 http://plaza.rakuten.co.jp/echo110/diary/200709030000/
  
 そうか、モバイル・パソコンを使えば寝転がって読めるんだ。
 でもさ、父ちゃん、モバイル・パソコンなんて持ってないよ。だいいちケイタイすら持ってないんだから。ケイタイは持たない。モバイルはない。本は寝て読むのスタイル。だから、いまだに自分で書いた本が読めないでいるんだよ。

 でさ、父ちゃんもいま考えたよ。うちに折りたたみ式の簡易ベッドがあるからさ。デスクトップのパソコンの前にそれを持ってきてさ、机の高さと同じにしてそこに寝ころんで読む。これならいけるんじゃないの。うん、グッド・アイデア。これが書き終わったら、やってみよう。
 しかしあれだね。電子ブックというのは読むまでがタイヘンだね。こんなんで売れるのかなあ。
 そういえば、この電子ブックを出版するにあたり、悪友のH(本條強)君に何から何まですべてをお世話になったのだけど、そのH君自身も電子ブックを2冊出している。同じく光文社からの、『ゴルフが大好き!』と『現代の戦士たち』だ。なので聞いたら、「7冊売れたかな」とのこと。7冊!?
 えーと、75円×7冊は…、ピッ、ポッ、パッ……?!