NEWS LETTER
Vol.19
 平成13年9月22日発行

稲刈り
 9月21日、稲刈りをしました。
 1年中でいちばんうれしいのが、この日。ことしは、大豊作。
 稲が風に倒されることもなく、虫にも、病気にもやられず、やっぱり人間、真面目に正しく生きていれば、お天道様はちゃんと見ていてくれるんですね。
 どこが真面目に正しくだって? ま、いいじゃないっすか。
 んなわけで、とりあえず、これで1年間は生きられる。ご飯は保証されたと。おかずは、魚を捕ればいいし、野菜もある。リストラにあっても大丈夫だ。百姓にリストラはないか。
 ことしは、よく田んぼへ通ったもん。夏の暑いとき、畦の草払い、溝掃除、ヒエ取り、めずらしく父ちゃん働いた。だから、いっぱい実ったんだよね。
 去年は風で倒されて、ぜんぶ手で刈った。トライアスリートの山ちゃんに加勢してもらっても、丸3日かかった。ことしは、佐藤さんが稲刈り機を持ってきてくれて、つぐちゃんも駆けつけてくれたから、たった2時間で終了。父ちゃん、初めて稲刈り機をやらせてもらったが、「腰が入ってない」だの、「へっぴり腰」だの、外野席からヤジの飛ぶこと、飛ぶこと。でも、うれしかったァ。
稲掛け
 翌日、稲掛け。前日に半分は掛けておいたのだが、東京から知り合いの大学生が二人来るというので、残しておいたのだ。東海大の学生さんは二人とも理工学部なのに、「農業を体験したい」と。それならと、稲掛けを手伝ってもらった。泥だらけになるのもいとわず働いてくれたので、これまた素早く片づいてくれた。
 稲刈り、稲掛けの日は、毎年、きまって快晴。気持ちのよい汗をかいて、畦に座り込んでお茶をする。お彼岸だから、母ちゃんがつくったぼた餅が並ぶ。真っ青な空。真っ赤な彼岸花。ピンクの秋桜、うっすらと色づいてきたミカン、そして黄金色。
 「田舎って、いいなあ」。青年がつぶやく。
ファームステイ
 昔、東京で一緒に仕事をしていた友人が遊びに来てくれた。古い友人の来訪は、いつだってうれしい。「あいつはいま、何してる」、「へえ、そうなの」と、話が弾む。
 カヌーに乗り、刺し網漁を体験し、露天風呂に入って、久しぶりの酒を酌み交わす。
 「とりあえずお互い、健康でなにより」。
 奥さんと2泊して帰った。
 入れ替わりに、大学生二人が4泊5日の居候。
 同時に、娘の家族3人。娘と旦那と赤ん坊。きょうから4日間、合計7名の大家族。
 9月に入って、夫婦二人だけの日はまだゼロ。いつも誰かがいる。
 金子農園は、まるで民宿状態。10月初めにも、すでに予約が。
 「人が来てくれるのはいいことよ」。「そうだよな」。
課外授業
 お客さんは、遠くからだけではない。
 近くの尾戸小学校から、ちびっ子たちが訪ねてきた。5,6年生が、社会科、「米のできるまで」の課外授業で、金子農園の農機具を取材しに来たのだ。テレビで、古い農機具があることを知り、カメラとノートを持ってきて質問攻勢。「これはなんという名前ですか」、「どうやって使うのですか」、「どうして、わざわざ昔の道具を使うのですか」etc. 「それはね…」。
 父ちゃんは、百姓になってまだ8年目。子供たちの家はほとんどが昔からの農家。その古い農家が最新式の農機具を使って、新米の百姓が昔からの農機具を使い、取材も受ける。なんか変。どこかおかしい。 
 
秋フカし…
 
シャコが去り、アジが再び顔を見せ始めた。イカも釣れている。
 なのに、東京からの客人にいいところを見せようとしたら、これがさっぱり。前日までの好漁はいまいずこ。網にも、カゴにも何も入らず、イカもアジも釣果ゼロ。そして、客人が帰った翌日からまた好漁。どうしていつも、こうなんだろう。
 「きのうまでたくさん捕れてたんだけどねえ」、「あの次の日はいっぱい捕れてね」。
 父ちゃん、「狼ジイさん」と呼ばれそうです。
 今の時期、フカ(サメ)が、網にかかります。小柄だけど、顔はまさしくジョーズです。