NEWS LETTER
Vol.20
 平成13年10月1日発行

脱穀
 9月29日(土)。佐藤さん夫妻や神近さん夫妻、大場さん夫妻が来て、ハーベスタ(脱穀機)で脱穀をしてくれた。午前中は神近さん、午後から佐藤さん、そしてそのあとうちの田んぼへ。毎年、みんなで脱穀をする。田植えも一緒。
 21日に稲刈りをして、そのあとずっと晴天が続いたので、稲はきれいに乾いてくれた。
 ことしは、台風も来ず、病気にもやられなかったので、うれしい豊作となった。
 コンバイン袋に11、5俵を収穫(1袋33kg)。もみすりをすると、約7割に減るとして約270kg。いまは1俵30kgで数えるから、玄米で9俵の収穫ということになる。
 「ことしは、よか米のできたばい」。みんな笑顔だ。
 夜は、佐藤さんの家で、ニワアゲ。ごちそうを持ち寄って脱穀を祝う。父ちゃんたちはビールと焼酎、母ちゃんたちはワイン。稲刈りを手伝ってくれたつぐちゃんのケイタイに電話すると、「いま、船の上だよ。イカ釣りをしてる」。「じゃあ、そのまま船で、釣れたイカを持って来いよ」。
 脱穀を祝うニワアゲの晩は、何をしゃべっても「ワッハッハ」。豊作。焼酎。ミズイカの刺身。秋の夜は、賑やかでなかなか更けて行かないのであった。
 
天日干し
 「稲刈りを終えて新米を食べました。でも、ぜんぜんおいしくありませんでした」。友人の杏子ちゃんから、メールが入った。
 新米なのにおいしくない。この頃は、みんなそんなことを言う。乾燥機のせいだ、とは誰もが指摘するところ。「乾燥機に掛けるとまずくなるのは分かっているんだけど、ミカン採りもあって忙しいから、そうせざるをえないんです」と、杏子ちゃんはメールに書いていた。
 うちの新米はいつもうまい。それは天日干しをしているからだ。昔からのやり方。稲刈りをしたら(去年は手で刈った)、稲掛けをして、10日から2週間ぐらい田んぼで天日干しにする。乾燥したらそこで初めて脱穀。わらもぜんぶとっておいて、畑に使う。しめ縄やぞうりもそれでつくる。そして、庭でもう一度干して、もみのまま倉庫に保管し、必要なだけを少しずつもみすりし、精米して食べる。
 いまの時代に似合わず、きわめてまどろっこしい。でも、そのまどろっこさが、新米をおいしくし、新米状態をいつまでも保つ。
 「天日干しした米は、うまかもんねえ」。そう、それは、米をつくっている者なら誰でも知っていることなんだけれど、今頃は、やらない人が増えた。近頃はどこでも、コンバインを使って、稲刈りと同時にその場で脱穀もしてしまう。わらも細かく刻んで田んぼにばらまく。そしてすぐ、乾燥機に掛けて乾燥し、もみすり、精米。アッという間にご飯にしてしまう。もう、実に簡単。これが近代農業だ!というわけ。
カナジャ
 秋は海からもやってくる。
 フグが釣れだせば、大村湾にも本格的な秋到来。シロサバフグ。地元ではキンプグ、あるいはカナジャと呼ぶ。このフグ、毒がない。毒がないから、丸ごとみそ汁に入れる。これが絶品。もちろん、刺身でもいける。一夜干しがまた、酒のつまみにいい。
 ぼくはこれを、東京の友だちに送る。「毒があるのは500匹に1匹ぐらいだから、安心して食べていいよ」とか、「たまに毒のあるやつもいるけど、舌がしびれるからすぐ分かるよ」と言うと、大抵のやつはビビる。
 「おいおい、大丈夫かよ」と聞くから、「多分、大丈夫と思うよ」と言ってやる。
 初日は60匹。2回目は42匹。去年は、行けば100匹以上だったから、ことしはまだ少ない。でも、しばらくは楽しめる。 
  
キンモクセイ
 洗濯物を干していたら(今年の夏からやるようになったのです)、キンモクセイの香りが…。
 ここにも秋。
 そう言えば、庭のコスモスも満開。ススキも風に揺れている。モズの鳴き声も聞こえる。
 畑を見渡せば、ソバの花も咲き始めている。
 10時のおやつには、栗の渋皮煮が出てきた。
 絵手紙に、栗の絵を描いた。
中秋の名月
 10月1日。きょうは、中秋の名月。
 早めにひと風呂浴びて、炉端に陣取り、チビチビやっていたら、いきなりドカンと出てきた。
 月見で一杯。
 「おーい、来て見ろ。月がきれいだぞ」。「うわー、きれいな満月ね」。
 地球の動く早さが分かる。
 収穫。味覚。花。香り。名月。名酒。秋は、いいな。