NEWS LETTER
Vol.21
 平成13年10月9日発行

フグの一夜干し
 「東京から客人が来ると不漁になる」というジンクスが、どうやらできてしまった。
 このところ、どういうわけか、そういう日が続いている。
 「うまい魚を食べさせて上げよう」という純な気持ちより、「いいところを見せよう」という邪心のほうが強いせいだろうか。それとも、先月のUちゃん、今月のR君、最近なんか悪いことしてないか、お前ら。というわけで、この頃、刺し網は休んで、もっぱらフグ釣りに精を出している。
 シロサバフグ(地元ではカナジャと呼ぶ)のシーズンで、この魚は誰が来ようがお構いなし。普通、釣りは朝まずめ、夕まずめの薄暗いうちが釣り時だが、フグは昼間でも平気で食いついてくる。早起きは苦手、夕方は早く上がって一風呂浴びて…というズボラな人に向いていることもあって、父ちゃんはこのフグ釣りが大好き。
 釣り竿は使わずに、手づくりの仕掛けで手釣りをする。沖に船を出して、2,3時間でだいたい40〜50匹。去年は100匹は釣れていたので、ことしは大分少ない。それを家に持って帰って自分でさばいて、母ちゃんにちょちょいと味付けしてもらって、庭に干す(写真)。
 網で軽くあぶって食べれば、酒の肴にぴったし。
 友人に送れば喜ばれるし、ほしいという知人には分けてもいる。
 
ワラ運び
 田んぼに残していたワラを片づけて、軽トラで家の倉庫まで運び込んだ。これで、来年春まで田んぼとはお別れ。「田んぼさん、お世話になりました。ありがとうね」。
 ワラは、ミカンやキュウリ、ナスなどの野菜のまわりに敷いたり、ヤギ小屋に敷いてたい肥をつくったり、納豆やしめ縄をつくるときにも使うので、大事に保管する。
 脱穀した籾は、港へ持って行き、シートに広げて干した。あとは、籾すりをし、精米すれば、新米が食べられる。
志ん朝と長嶋
 志ん朝が死んじゃった。
 志ん生もよかったが、志ん朝も好きだった。早すぎるよ。
 「火焔太鼓」を聴き直した。「大工調べ」も録画して置いたビデオテープで見た。
 笑いながら、泣いちゃった。
 長嶋もやめちゃった。
 もう、日本のプロ野球も終わりだ。みんな終わり。みんな、いなくなっちゃう。
 いなくならないのは、いなくてもいいやつばかり。
 てけてんてん…、酒でも飲まなきゃ、やってらんねえや。
 ところでさ、ビデオテープって、どうしてこんなにカビがはえるの。ビデオクリーナーでもとれないカビの取り方、誰か知っていたら教えてください。
 
楽園の美術展
 東京で活躍しているフリー・イラストレーターの渡辺隆司君が、遊びに来てくれた。古い友人だから君付けで呼ぶけれど、銀座で個展をやれば、渡辺画伯と呼ばれ、作品もみんな売れてしまう。その画伯が、「金子ワールドは、描くものがいっぱいある」と、喜んでくれた。1泊し、精力的に描きまくり、露天風呂で星を眺め、酒を酌み交わし、昔話に興じた。
 『渡辺隆司の絵日記・がんばらないぞ!』(田舎暮らし狂想曲と相互リンクをはっている)で、来週あたりから、今回の作品集を見せてくれるそうです。どうぞ、ご覧になって下さい。酔いどれ漁師の哀愁あふれる姿も「描いた」と言ってました。酔いつぶれている間に「描かれてしまった」ようです。
食と人生
 味の素が主催したエッセイ・コンテストで、優秀賞5万円をもらいました。それはもう、使ってしまいましたが(たかってもダメよ)、その作品をまとめた本が出版されました。
 『食と人生ー81の物語り』(発売・農山漁村文化協会)定価1500円。
 本屋さんで見かけたら、立ち読みでもしてみてください。
 懲りずに、賞金稼ぎしています。
 でも、不景気のせいか、この頃、エッセイの募集がめっきり減って…。