NEWS LETTER
Vol.23
 平成13年10月21日発行

釣る
 不漁で泣いていると書いたら、翌日から捕れだした。これだから、漁は分からない。
 刺し網に1.5kg〜2kgのフカが7匹と、60センチのサワラが2匹。クーラーに入りきらない。久しぶりに得意顔で味彩市へ持っていったら、すぐ売れてしまった。
 フグも釣れだした。おととい80匹、きのうは52匹。
 100〜200匹釣れた去年と比較すれば少ないが、10匹も釣れなかった先週から比べれば大漁だ。さて、80匹や52匹は多いのか、それとも少ないのか。
 そう言えば、同じ1万円でも、昔は軽かったが、いまはやたら重いぞ。
    
来る
 この1週間も、訪問者が絶えなかった。
 鹿児島からTさん。国大を出たばかり。「正しい生産者になりたい」との夢を持つ。『田舎暮らし狂想曲』を全ページ、プリントアウトし抱えてきた。質問攻め。若者はいい。元気がある。真っ直ぐすぎてちょっと危なっかしいが、「来てよかったです」と言って、オートバイで帰っていった。
 静岡からKさん。「テレビを2回見て、どうしても来てみたかった」。役場の課長が車で案内してきた。「この辺の土地代はいくらくらいしますか」。質問はこれだけ。失礼ながら、かなり年輩。「百姓は体がきついですよ」とアドバイスした。
 福岡からSさん夫妻。「釣りが好きなので、田舎暮らしの夢を実現させたい。その雰囲気を体感したくて」。
 大島町からMさん。「現代農業に書かれた金子さんの文章を読んで来ました」。39歳。就農1年。野菜とサトウキビをやっているが、まだ収入に結びつかないとか。パン用の麦は持たないと言うので種を上げる。「こんど、サトウキビを持ってきます」。
 オランダから友人のY、その友人のS(イギリス人)と子供。「仕事デ来日シタノデ、1日休ミヲ取ッテ遊ビニ来マシタ。元気デスカ」。
怒る
 年をとって人間が丸くなったと思っていたのは、どうやら錯覚だったらしい。
 1週間のうちに3回も怒ってしまった。
 いつも行くガソリンスタンドの経営者が代わって、給油がセルフになった。1万円札を入れて満タンにしたら、お釣りが出てこない。事務所に行ったら、「お釣りはカードになってます」と言う。冗談じゃねーぞ、財布には1000円しか残ってない。「両替機がある」と言うけど、どこにあるのか分からない。説明もない。「1000円じゃ暮らせねえから、なんとかしろ」と言って、そのお釣りカードを引き取らせた。ヤーサンみたいだけど、しょうがない。翌日、母ちゃんが寄ったら、「両替機あります」と大きな張り紙がしてあったそうだ。
 「琴海町の環境をよくするために何かを始めよう」。その集まりがあるから参加してほしいという案内が知人から来て、行きたくなかったが、しがらみで顔を出した。発起人らしい某テレビ局の人が話を始めたが、40分間も聞いて、話の内容も、何をしたいのかもまったく理解できないので、途中で、「失礼します」と言って、帰って来ちゃった。「ったく、忙しいのに、冗談じゃねえぞ」。
 琴海町で新しい公園をつくる、その民間の委員みたいなことをさせられて、現地視察に行ったら町長が来ていて、「あ、金子さん、こんど時間をつくりますからイッパイやりましょう」と言うから、「いや、結構です。出来ないことは言わないでください」と言ってやった。だって、同じ台詞をもう、10回ぐらい聞かされてるんだぜ。
刈る
 髪の毛が伸びたので、母ちゃんに頭を刈ってもらった。
 いま、床屋っていくらぐらいするんだろう。もう、30年くらい床屋には行ってないので分からない。髪の毛を切るだけで、多分、何千円もするんだろうな。
 ぽかぽか陽気の秋晴れ。コスモスの花がきれい。ススキも風に揺れている。秋はいいな。
 「お父さんの頭もススキみたい」。
 「…」
 「少なくってかわいそう」。
 「うるせえ、黙って刈れ」。