NEWS LETTER
Vol.28
 平成13年11月29日発行

ミカン
 寒波はいつも急に来る。ことしも急に来た。
 ずっと小春日和が続いていたのに、一転、真冬の冷え込み。あわてて、セーターやら、フリースやらを引っ張り出した。でも、冬将軍の到来は、百姓や漁師にとっては決して悪いことじゃない。むしろ、「待ってました」という、歓迎すべき訪問者なのだ。ミカンは味が付くし、ナマコだって寒くならないと出てこない。だから、父ちゃんは、ブルブル震えながらワクワク胸躍るという、毎年のことながらいまは、まことにもって寒む暖かい日々であるのだ。
 急に冷え込んだので、急にミカンが色づいた。
 早速、ミカン採り。ことしは表年で豊作。たわわに実っている。
 金子農園のミカンは、もちろん無農薬。
 友だちや、毎年買ってくださるお客様には発送も始めた。昨年は不作で、ご迷惑をおかけしましたが、ことしは大丈夫です。
 金子農園ファンの方にも、ご要望にお応えして、ことしは先着順でご予約承ります。1箱(10kg入り)送料込みで3000円です。ただし、あらかじめお断りしておきますが、無農薬なので、見かけはあまりきれいではありませんよ。それでよければということです。今風のただ甘ったるいだけのミカンではありません。酸味もある昔の味の温州ミカンです。
ソバ
 ミカン採りで忙しいのに、ソバも収穫しなければならず、きょうも、「へぐらし」。へぐらしとは、こちらの方言で、「暗くなってまで働く」ということ。「日暮らし」がなまったのだと思うが、つまり、残業ですね。
 ソバは、1升植えて1斗できると聞いている。ことしは2升植えたので、2斗と思っていたら、その倍近くも採れた。収穫したソバを昔の脱穀機で脱穀。足踏み式だから疲れるけれど、そこは父ちゃん、自転車で鍛えてるからへいちゃら。
 去年までは、ザルの底でもんで脱穀していたが、この脱穀機はすぐれもん。
 きょうは、これから、石臼でソバ挽きだ。
 ゴリゴリ、ゴリゴリ。
 安寿恋しやホーヤレホ。
 厨子王恋しやホーヤレホ…。
紅葉
 冷え込んだら、景色も一変した。山が燃えている。
 ハゼの鮮やかな赤色が山を焦がし、庭のモミジもまっかっか。露天風呂の囲いが古くなったので、檜の皮で囲ったら、それがモミジとぴったり合って、いい風情。
 寒いけど、露天風呂を湧かして、紅葉で一杯とシャレてみるか。
ヤギ小屋
 ヤギの様子がおかしい。鳴き方がちがう。どうも、さかりがついたらしい。雌2頭なので、相手がいない。欲求不満のご様子で、母娘ともやたらうるさい。
 体が騒ぐのか、ここへ来て、毎日のように脱走を繰り返す。脱走しても、カレはどこにもいないので、辺りの野菜を片っ端から焼け食い。どうにもならない。
 囲いがバラバラにされたので、竹を切ってきて修理したら、恨めしそうにまた泣き叫ぶ。
 「我慢しなさい!」と、言ってやる。
バカは死んでもバカなのだ!
 赤塚不二夫の対談集『バカは死んでもバカなのだ!』を図書館から借りてきて読んだ。
 笑った、笑った。ひさしぶりにバカな本を読んでしまった。
 やっぱり、バカは、たまにはバカな本を読まなきゃいけないと思った。この頃、アフガン問題や、狂牛病問題等のニュースを見続けて、「バカ本」を読むのをおろそかにしていたなと、父ちゃん、深く反省したのであった。