NEWS LETTER
Vol.31
 平成13年12月26日発行

ウニ漁解禁
 25日、ウニ漁が解禁になった。
 ところが、当日は低気圧が通過したとかで、未明から激しい風雨。結局、海へ出られないので、久しぶりに町へ出掛けた。日記帳や便せん、パソコンのインクカートリッジなどを買い、図書室に寄って頼んで置いた本を借りてきた。『にっぽんの漁師』と、『声に出して読みたい日本語』の2冊。希望を出せばほとんど購入してくれるので、父ちゃん、この頃あまり本は買わない。
 午後は、師匠の佐藤さんや、その息子ののりちゃん、大工のつぐちゃんなどが連れだって遊びに来た。雨が降れば、だいたいこういうことになる。延々10時まで飲む。
 26日、ウニ漁。ところが、港を出たとたん、エンジンがストップ。なんとか港へは戻ったものの、船が動いてくれなければ仕事にならない。泣く。
 修理屋さんに来てもらう。二度目なので原因は分かっている。ナマコ漁で無理をしたのでペラの内部のゴムがすり切れたのだ。新品のペラに交換。1万2000円。泣く。
 ナマコ漁でもウニ漁でも、初日がいちばん捕れる。初日にゴソッと捕って、あとはぼちぼち捕っていく。その初日につまずいちゃって、父ちゃん、しょんぼり。快晴の海を眺めて、泣く。
  
ナマコ漁
 ナマコ漁は、エリアを区切って行う。初めの1週間は禁漁になっていた形上湾が、2週目から解禁になる。それが24日。この日、父ちゃんはがんばった。底引きをバリバリ漕いだ。12`。何匹という人もいたのに、12`は多いほうだ。でも、そのバリバリがたたってエンジンが故障した。がんばるというのは、そういうことでもあるのだよな。
イブ
 24日のナマコ漁では、思わぬ余録があった。
 網に、大きなヒラメが2匹とイカが2匹、それにウニとタコなども入ってくれた。
 というわけで、クリスマス・イブは豪華なディナーとなった。北海道出身の友人からは、でっかい鮭も届いた。ミカンを送ったら、鮭になって帰ってきたのだ。次男のガールフレンドからは、ボジョレー・ヌーボーも届いた。
 母ちゃんとふたりで、「メリー・クリスマス!」。
 誰もいない、何も聞こえない、静かな田舎のイブ。
 7時のTVニュースでは、仙台と神戸の派手なイルミネーションを映し出し、人の群れでにぎわう都会のイブの様子を伝えていた。
 
先週のお客様
 地元の小学校の女先生が、取材に来た。学校とは関係なく、自分の勉強のために通っているある塾に提出する論文を書くので、話を聞かせてほしいとのこと。テーマは、「志を持って生きる人」とか。
「おれは、志なんか持ってないよ」と引いたけど、夜中の1時まで炬燵に入っておしゃべりしていった。
 福岡から、N夫妻が訪ねてきた。「ホームページを見て、会いたくなった」のだそうだ。「脱サラして北海道へ帰って暮らそうと思っている。ついては、意見を聞かせて欲しい」。
 聞けば、準備万端、奥さんも賛成。元気があって、やる気も十分。
 一宿一飯、お近づきにと、『大吟醸』と、銘酒、『久保田』を下げてきたのが気に入った。
 酔った勢いで、「やるべし」とけしかける。
 翌朝、父ちゃん、ナマコ漁。二人は起きてこず。おつぶれになったご様子。
重大ニュース
 と言っても、同時テロや狂牛病ではない。父ちゃん個人のことしの重大ニュース。いや、ちっとも重大なことでもないけど…。ま、いいじゃない。
 
 第1位。4000メートル上空の飛行機から飛び降りる。
 これはスゴイです。2月にハワイでスカイダイビング。いままでいろんなことやってきたけど、ちょっと味わったことのない体験。何かが、スコーンと抜けちゃった。
 

 2位。初ピアノ・コンサートでイエスタデイを弾く。
 5月、下関市民会館で。もともと気が弱いほうではあるけれど、これほど震えた経験はいままでない。飛行機から飛び降りるよりも、度胸がいる。その勇気に乾杯。
 
 3位。初めてのお使い、初めての自炊。
 7月、母ちゃんが娘のお産介護で茅ヶ崎へ行っちゃった。スーパーへ買い物に行ったこともない、お湯も沸かしたことがない父ちゃん、さて、困った。で、やってみた。エライ!

 4位。独学でホームページを開設。
 指導書と首っ引きで、4月1日公開。思わぬ反響の多さに驚く。新しい友人もできた。

 5位。タレント業大忙し。
 NHK教育『にんげんゆうゆう』、テレビ朝日『人生の楽園part2』、日本テレビ『遠くへ行きたい』とたてつづけにテレビに出演。すっかりお茶の間の人気者に、はならなかったけれど、テレビの反響は半端じゃなく、訪問者が激増。琴海町の名を全国に広めたということで、とうとう『町民栄誉賞を』との声まで。冗談で。

 6位。
 ジャック・ダニエルの墓を訪ねる。
 サントリーのエッセイで米国テネシーのリンチバーグへ招待されて、ジャック・ダニエルの蒸留所を見てきた。ついでに、ダニエル氏のお墓にも連れて行かれた。いくらジャック党でも、お墓まで行った日本人はいないのでは。
 
 7位。住民検診異常なし。
 1年間、一度も医療機関にかからなかったというので、健康優良家庭として町から表彰状と記念品をもらった。健康がいちばん! 
 ことしも、いろいろありました。
 あとは、大晦日までウニ漁、ナマコ漁をやって、ミカン採りもやって、門松としめ飾りをこしらえて、庭で餅をついて、年越しそばを打って、「ことしも、いい年だったね」と、母ちゃんと締めくくりの酒を飲んで、近所の八幡様へ歩いて初詣に。
 1年間、ご愛読ありがとうございました。お世話様になりました。みなさま、どうぞ、よいお年をお迎え下さい。
 来年も、よろしくお願い致します。