平成15年12月17日 Vol 93
迎えてくれる人がいて
 9日から13日まで、東京へ行って来た。
 目的は講演と講義。人前でしゃべるのはいつまで経っても慣れないけれど、友だちに頼まれたら嫌とは言えない。いつだって、友だちに支えられて生きているのだから。それに、いくら苦手だからって、逃げるのはもうやめたのよ。いままでは、結構、逃げてきたから。
 逃げないでちょっと勇気を出して新しいところへ出ていくと、またそこで新しい出会いもあって、いろいろ教えられることもあって、友だちもできる。なにより、人に頼られたり、話を聞いてもらって、たとえ少しでも喜んでもらえるなら、こんなうれしいことはないしね。
 今朝、新聞を読んでいたら、ある詩人がこんなことを語っていた。「苦手なことには手つかずの宝物がたくさん眠っている」。そうだよなあ、と同感。

 9日(火)、横浜で飲み仲間が集まって歓迎会をしてくれた。
 ことしの9月に長崎まで遊びに来てくれた6人が全員集合して、長崎珍道中の話に花が咲く。
 「しかし、あの露天風呂はサイコーだったな。でもさ、ぐらぐら煮立つまで薪を焚いてくれるんだもん、いくら水で薄めても入れないの。あれ、わざとやったんでしょう」
 「ハハハ、分かった?」
 と、そこへ現れたのが、
坂本冬美さん わお。
 仲間の一人が友だちなのだという。一緒になって飲む。
 カラオケはあったが、「夜桜お七」は唄ってくれなかった。
 「わたし、歌は下手なの」だって。そう言えば、顔も違う。

聴いてくれる人がいて
 10日(水)、午前9時から10時30分まで。東京の某大学で特別講義。『レクリエーション支援論』。
 「これがスポーツだという特定の活動種目がないように、レクリエーションにも特定種目はない。日本のレクリエーション支援法は、個人支援法、集団支援法、社会支援法の3つに分けられているが、当授業では個人支援法に焦点をあて、純粋な動機で楽しみを求め味わう活動が集積する生活領域を、快楽生活と呼び、共に生きる喜びのつくり方を学習する」というのが、授業のねらい。
 分かります? 
 学生200名。最初のうち居眠りしていた者も何人かいるにはいたが、概ね真面目に聴いてくれていた。途中、のどが渇いて水を3回飲んだ。講義が終わったあと、200人が感想文を書いてくれた。 それを読んだ父ちゃんの感想は、「しょうがねぇなあ、近頃の若いもんは。ほんとにもう、おれの若い頃と違って、真面目なんだもん」 なのであった。 

お金を払って来てくれる人もいて
 10日、午後5時30分から7時まで。こんどは、横浜で一般の人を対象にした講演会。
 「自給自足的な暮らしをどのように築いてきたのか」というお話に、会費1000円は高かろうにと思ったが、先着50名様募集のところ、定員オーバーの60名様が集まってくれた。田舎暮らしはやっぱりいまやブームなのか。それだけいまの世の中、都会は住み難いのか。
 学生よりも表情は真剣。そりゃそうかもしれないけど、やっぱり閉塞感とかあるのかなあ。
 豊かさを求めて一生懸命働いて、いまその豊かさをもう一度見つめ直そうとしている人がいる。
 
 講演が終わったら、引き続きこんどは場所を移して、飲みながらの懇談会。こちらは会場の関係で20名限定の1万円会費。それでもみなさんぞろぞろ来てくれる。
 これはほんとに、どういうことなんだろう。
 午前0時、一応、中締めをし、さらに気分を変えて…。

昔から変わらぬ人もいて
 11日(木)、当然のこと、二日酔い。
 液キャベを飲んで渋谷へお遊びに。と言っても、根が真面目な父ちゃんのこと、行くところと言えば、大きな書店と東急ハンズ。これが上京したときのお決まりコース。そのあと、何人かの友だちに電話。素通りすると怖いから。
 夕方、子分のTを呼び出して再会を祝し、夜は別の悪友4人と忘年会。
 昔しっかり遊んだ町で、当時の遊び仲間と、昔話に花を咲かせて、また午前様。いつもは9時就寝なのに。

酔っぱらって最終電車の人がいた 
 12日(金)、9時起床。酔い覚めの水千両。頭痛。液キャベ。食欲なし。
 午後1時から2時30分。某大学で、『スポーツマネジメント論』について特別講義。
 続いて、2時40分から4時10分。もう一度、講義。
 頑張るなあ、父ちゃん。やりすぎじゃないの。「まあ、いいじゃない」。
 
 午後6時。悪友ホンジョーと飲む。
 本の話、映画の話、ジャズの話、旅の話、酒の話、書くことの話。
 高級ワインを飲みながら、いくら話しても時間が足りない。話すほどに、酔うほどに、気が付けば終電間際。あわてて走って、「じゃあ、また!」
 
 13日(土)、9時起床。酔い覚めの水千両。頭痛。液キャベ。食欲なし。
 という、東京日記のお粗末。