ひきこもり等に対する悪徳な支援団体の存在3回目

先日 「引きこもる青年を自立支援と偽り監禁、暴力的施設の深い闇 (2017年6月29日DIAMONDonline)」 という記事を目にしました。 リンクしておきますので、興味のある方は読んでみて下さい。


上記記事のようなニュースは、なにも近年になって起こっているものではありません。 30年以上前から、不登校やひきこもり、または非行などの当事者に対して、「更生」「矯正」を掲げて支援まがいのようなことをする団体は存在していました。 そしてそういった団体のことが世間一般に知れ渡るとき、それは悲しいニュースを伴っている場合でした。


支援のあり様は様々でしょうが、暴力をふるうなどもっての外です。犯罪行為です。 こういった悪徳支援団体がまだ存在していることにも憤りを覚えますが、そういった団体に頼らざるを得ない親、家族がいるという現実に、危機感があります。 明らかに付け込まれています。

今回のコラムでは3回でお送りします。
1回目は 現在ひきこもっている当事者の方へメッセージを書きました。
2回目は、親の方へのメッセージを。
3回目の今回は、僕なりの悪徳支援団体の見極め方として料金の話を少ししたいと思います。

 

 

☆悪徳支援団体の見極め方☆
※これはあくまでも僕個人の意見なので、多少参考にする程度にしておいて下さい。

〇料金〇

支援団体によっては、料金がかかる場合があります。 「もぐり」も訪問などで料金を頂いています。 この料金が高すぎるところは、単純に危険だと思います。
でも金額の高い、安いは人によってもかわってきますよね。 ひとつ参考にしてほしいデータがあります。

NPO法人フリースクール全国ネットワークという団体がおこなった「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査(フリースクール実態調査)」というものがあります。
この調査は、平成27年3月時点でおこなわれたようです。 調査対象は「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設」で、 474 の団体・施設へアンケートを送付し、319 の団体・施設から回答(回収率:67%)とあります。(詳しくはNPO法人フリースクール全国ネットワークHP「公開資料:フリースクール実態調査」
この調査では、小、中学校年代のことが調査されているので、ひきこもり(それも年齢が上の)とは少し違うかもしれませんが、とりあえず見ていきましょう。

この調査の中に、【5 会費等の状況】という項目があります。そこには、「月額の会費(授業料)は、1~3万円・3~5万円とする団体・施設がそれぞれ4割弱、平均額は約3万3千円」とあり、下図のような調査結果が示されています(月単位で会費を徴収していないと回答した団体・施設は、49 か所:通所した際、その都度利用料を徴収している場合など)。


区分 団体・施設数 割合(%)
~5,000 円 25 9.5%
5,001~10,000 円 15 5.7%
10,001~30,000 円 100 38.2%
30,001~50,000 円 95 36.3%
50,001 円以上 27 10.3%
262 100.0%

小、中学校対象ということもあるかもしれませんが、平日ほぼ毎日開いているフリースクールに通う場合、平均月謝は3万3千円、年額だと39万6千円です。
この金額が高いかどうかはとりあえずさておき、一番はじめに紹介したニュースでは、親は悪徳団体に700万円以上払ったのではと書かれています。 明らかに金額のケタが違います。

不登校・ひきこもり支援においては、支援にかかるお金の額が上がるに比例して、当事者にいい効果がでてくるわけではありません。 この点については、断言できます。ましてや何百万などあり得ません。

藁をも掴む気持ちで、子どものためだと思って支払ったのでしょう。この子のためなら、どんな額でも痛くないと。
厳しく言えば、それは逃げです。
自分ではどうもできないからと他人に任せて、高いお金を支払うことによって罪の意識のバランスを保っているだけに過ぎません。

料金はあくまでも判断材料のひとつです。
判断材料は他にもあります。
支援の良し悪しは親や支援者が決めることではありません。
子ども自身が望んだ時、手助けできるに過ぎないのです。

 

悪徳な支援団体の存在は悲しい事です。
僕としても今後も啓発していきますし、そういった悪徳支援団体が自然淘汰されるような社会になることを願っています。

 

不登校・ひきこもり支援~もぐり~
古豊慶彦


2017年07月19日