ゴモリ


1583年ヨハン・ヴァイヤー『Pseudomonarchia daemonum』(JD訳)
 ゴモリ(Gomory)は偉大な公爵で、公爵夫人の冠を腰に携え、ラクダに乗った、美しい女性のように現れる。彼は過去・現在・未来や、隠された財宝について十分に答えるだろう。彼は女性――特別な乙女の――愛情を獲得させる。彼は26の悪霊軍団を従えている。
 ヨハン・ヴァイヤー(1516〜1588)はドイツ系オランダ人医者で、アグリッパの弟子だった。悪魔について詳細に書き記した『Pseudomonarchia daemonum』は『Goetia』の悪魔と同じものが描かれていて、ゴモリも載っている。通常、ソロモンの72悪魔中、唯一の女性であり紅一点とされるが、原文が「he」となってるので、なんだか女装癖の悪魔みたいになってしまった。

17世紀頃『LEMEGETON』Goetia (JD訳)
 56番目の霊はゴモリ(Gemory)と呼ばれる。彼は偉大な公爵で、公爵夫人の冠を腰に携え、大きなラクダに乗った、美しい女性の姿で現れる。彼の仕事はすべての過去・現在・未来や、隠された財宝について話す事と、汝に老いも若きも女性の愛情を獲得させる事である。彼は26の悪霊軍団を従えている。
 『Pseudomonarchia daemonum』と、ほぼまったく同じ内容。なお、原語のスペル「Gemory」だが、青狼団の『魔導書ソロモン王の鍵』iconでは、「Gremory(グレモリー)」となっている。これはアレイスター・クロウリーの『ゲーティア』によるもので、「GREMORY or GAMORI」となっている。

1812年コラン・ド・プランシー『地獄の事典』ゴモリーの項(床鍋剛彦訳/講談社)
 地獄の有力な公爵。女に化けて現れる。公爵冠をかぶり、ラクダに乗る。現在・過去・未来を知り、隠された財宝のありかを当てる。二六6の軍団を従える。
 プランシーの悪魔事典でも同じ。


研究室