ニスロク


前200年頃『列王紀下』第19章(日本聖書協会訳『聖書』iconより)
 その夜、主の使が出て、アッスリヤの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆、死体となっていた。アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰っていってニネベにいたが、その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子らのアデランメレクとシャレゼルがつるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げていった。
 これとまったく同じ記事が『イザヤ書』第37章にもある。ニスロクはアッシリアの神だったらしい。この頃、ユダの方がアッシリア王セナケリブに攻め落とされていた。が、YHVHの恐るべき大量殺戮兵器によって、アッシリア軍は一晩で十八万五千人が死んだという。

1667年ミルトン『失楽園』icon第6巻(平井正穂訳/岩波文庫)
 彼についで立ち上がったのは、権天使の首領であるニスロクであった。しかし、その姿は、修羅場から今脱出してきたばかりといった風で、疲労の色をありありと示し、鎧もずたずたに切り苛まれていた。
 注釈によると、「ニスロクとは鷲の意といわれる」という。

1812年コラン・ド・プランシー『地獄の事典』ニスロクの項(床鍋剛彦訳/講談社)
 第二級の魔神。ベルゼビュートの料理長。美味による誘惑と食卓の楽しみの権威。
 と、なぜだかグルメな悪魔になっている。一般的に言われる料理長は、この姿。この出典は、今のところ不明。


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