雪の女王


1843年アンデルセン『雪の女王』(大畑末吉訳『完訳アンデルセン童話集2』icon岩波文庫)
 雪の女王は、それは美しい人でした。これ以上、賢い、やさしい顔は、考えられませんでした。いつか窓の外から手まねきしたときのように、氷でできているとは、とても思われません。カイの目には、まったく申しぶんのない美しい人に見えました。
 『女神異聞録ペルソナ』など、たまにゲームのネタにも使われるが、「雪の女王」はもとももとはアンデルセンの童話である。原題(デンマーク語)では「Sneedronningen」、英語では「Snow Queen」。副題に「七つのお話からできている物語」とある通り、七つの物語から成ってるため、他の童話よりも長め。1話目は悪魔が作った鏡の話で、この鏡の破片がカイという少年の目の中に入り、カイはひねくれた少年になってしまう。2話目で雪の女王が登場し、カイを雪の城へと連れ去る。3話目から5話目にかけては、カイの友達である少女ゲルダが、カイを探して雪の城を目指す旅の話。6話の後半で、やっと雪の城に辿り着くが、この辺のくだりが一番面白く、雪の女王の軍勢たちがゲルダに迫った時、「主の祈り」を唱えると、ゲルダの吐いた息が天使の軍勢となり、雪の魔物たちを撃退してくれる。7話目でカイと再会し、雪の女王が留守の間に連れ出して、めでたし、めでたしとなる。雪の女王の城はラプランドにあるという設定だが、ミルトン『失楽園』iconでも「ラップランドの魔女たち」という記述があり、ラプランドは魔女たちの棲みかとされていたらしい。他にも新潮文庫の『マッチ売りの少女』iconなど、いろんな出版社からアンデルセンの童話は出版されている。



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