ウアル


1583年ヨハン・ヴァイヤー『Pseudomonarchia daemonum』(JD訳)
 ウアルは偉大で力強い公爵で、彼はヒトコブラクダの姿で現れるが、しかし人間の形となり、低い声でエジプト語を話す。女性の特別な愛情を獲得し、過去・現在・未来の事を知り、敵にも味方にも愛を獲得する。彼は37の悪霊軍団を従え、指揮する権力者である。
 ヨハン・ヴァイヤー(1516〜1588)はドイツ系オランダ人医者で、アグリッパの弟子だった。悪魔について詳細に書き記した『Pseudomonarchia daemonum』は『Goetia』の悪魔と同じものが描かれていて、ウアルも載っている。

17世紀頃『LEMEGETON』Goetia (JD訳)
 47番目の霊はウアルと呼ばれる。彼は偉大で、非常に力強い公爵だ。彼は最初、汝の前に強力なヒトコブラクダの姿で現れ、しばらくすると人間の形となり、汝にエジプト語で喋りかけるが、しかし完全ではない。彼の仕事は汝に女性の愛情を獲得させる事と、過去・現在・未来の事を話す事と、敵にも味方にも友情を芽生えさせる事である。彼は37の悪霊軍団を従え、指揮する権力者である。
 『Pseudomonarchia daemonum』と、まったく同じ内容。ただ、こちらにはこの悪魔のシールがついてるオマケつき。なお、原語のスペル「Vual」だが、青狼団の『魔導書ソロモン王の鍵』iconでは、「uvall(ウヴァル)」となっている。

1812年コラン・ド・プランシー『地獄の事典』ワルの項(床鍋剛彦訳/講談社)
 冥界の偉大かつ強力なる公爵。背の高い不気味なひとこぶ駱駝の姿で現れる。人間に化けるとエジプト語を話す。現在・過去・未来を知り、かつては能天使の階級に属した。三六軍団を従える。
 ここでは「wall(ワル)」となっている。フレッド・ゲティングズの『悪魔の事典』iconでは、「ウアル」と「ワル」は別項目になっているが、まったく同じものだ。しかし、『Pseudomonarchia daemonum』や『LEMEGETON』には無い、「能天使の階級に属した」という文があるのはなぜだろう?


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