京都


1995年7月頃
 この頃の私はネットゲームなるものにハマっていた。ひとりでやるのもアレなので、ゲームおたくのラッペー小浦を誘ったところ、彼は見事にハマりまくって、ついに「お金出すけんが、ネットゲームのイベントについてきて」と言い出したのである。というわけで、私とラッペー小浦、それからゴンザレス片岡(弟)の3人のおたくが、ネットゲームのイベントが開催される京都へ向かうべく、寝台特急あかつきに乗り込んむこととなった。
 私とラッペー小浦が一緒に京都に行くのは、実はこれが初めてではない。ラッペー小浦とは高校時代からのつきあいなので、高校の修学旅行で一緒に行ったわけである。修学旅行の時には、〈清水寺〉など、まあ観光名所として名高いところは、まわった。しかし、最も行きたかった場所には、いけなかった。少し遠くなるため、自由行動時間で行くには、はばかれてしまったからだ。そこで、京都に自費で行くからにはと、今回私はいじでも行くことにした。それは、京都北方にある、〈鞍馬寺〉である。
 〈鞍馬寺〉のある鞍馬山は、源義経が少年の頃、鞍馬の天狗に習って剣術の修行をした場所と伝えられている。またこの鞍馬山、太古の昔、金星より飛来したサナート・クマラ、別名を魔王尊という神が降り立った山なのだ。
 JR京都駅に降り立った我々3人だったが、イベントが行われる場所の「現地集合」ということにして、私は独りで〈鞍馬寺〉を目指すことにした。正確に言うと、京都駅で待ち合わせして、それから電車に乗って移動ということだったのだが、私が予定の電車の時間に間に合わなかったたため、結局、「現地集合」というカタチになってしまったことは、まあどうでもいい。とりあえず、独りになった私はバスに乗ってバスセンターへ行き、そこから鞍馬山行きのバスに乗り換えようと思いきや、バスは出てないらしい。ガイドのオジサンの指示通りバスセンターから、まずバスに乗って途中まで行き、そこから電車に乗り換えることとなった。このへんの交通移動の事はあまり覚えてない。まあ、さほど難なく〈鞍馬寺〉へ向かうことはできたので、よしとする。
 鞍馬山は山の一部がではなく、山全体が聖域になっており、山のあちこちにお堂などがたっている。それを順々にまわっていくと、反対側の〈貴船神社〉につくようになっている。なので、延々山道を歩いていかないといけないわけだ。とりあえず大きな階段を登っていくと、本堂みたいなところに着く。そこで写真で見た魔王尊像などを眺めてから、山道へと入っていく。とにかく、歩くに神経を集中させたので、あんまり覚えてない。道中、いくつかのお堂があり、中には仏像がいくつも展示されている資料館のような所もあった。なかなか、仏像が数体もならんで、しかも薄暗い部屋だったので、怖かった。また、何カ所か源義経由来のところもあった。
 感心するのがお年寄り方で、当時21歳くらいだった私でさえもハアハアゼイゼイ言っているのに、あんなお年寄り方はポックリいってしまうじゃないだろうかと思ってしまった。でも、こんな山ん中で暮らしいれば、嫌でも源義経は足腰が強くなっただろうし、若さを保つ秘訣はやはり、こういったところに足を伸ばしてチャレンジしてみることなんじゃないかとも思ったり。
 とにかく、しばらく歩くと下界が見えてきて、〈貴船神社〉へと辿り着くことができた。〈貴船神社〉は観光名所だから、当然、とても綺麗な神社である。しかし此処は、裏の世界では、呪いの神社として有名なところである。私はどこかに藁人形がささってないかと、見つけて回ってみたが無い様子だった、残念。かわりに、木々をさわってヒーリングのようなことをやっている女性をみかける。奥の方に進んでいくと、寂れた所に奥の院があった。本堂と違って、奥の院というのは、どこも寂れたものである。
 川沿いに下っていくと、旅館なんかがならんでいる。ひんやりとして、とても涼しいところだ。今度は、このへんの旅館に泊まって、ゆっくりしたいものだと思ってみる。それから京都駅に戻って、列車に乗って、イベント会場近くの駅で、ラッベー小浦とゴンザレス片岡(弟)らと合流。彼らにとっては、これからが本番なのだが、私はすでにどっと疲れてしまった。イベント会場でもいろいろあったけれど、それはまた別の話。


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