召喚の書


これから召喚士を目指すであろう、現代の若者たちのために、召喚にまつわる記述のある本を集めてみた、が。絶版の多いこと‥‥。

『魔導書ソロモン王の鍵』icon青狼団/二見書房
 日本語で手軽に読める召喚の書といえば、これ。前半は「ソロモンの大きな鍵」の惑星の魔法陣の解説、後半は「ソロモンの小さな鍵(ゲーティア、レメドゲンともいう)」による、実践的な悪魔召喚法が書かれている。ソロモンの72悪魔に関する解説がされているので、悪魔召喚士を目指すならば、絶対に持っているべし。テーブルクロスにもなる、魔法陣のオマケつき。

『魔導書ネクロノミコン』iconジョージ・ヘイ編/学研
 ジョン・ディー博士が暗号文書として残した、あの禁断の書『ネクロノミコン』断章の邦訳。ヨグ=ソトーズ、クトゥルー、シュブ=ニグラスといった恐るべき邪神の召喚方法が記されているので、邪神召喚士を目指すなら、絶対に持っているべし。偽書かどうかは別として、魔術団体《立方石》のロバート・ターナーが関与しているところが興味深いところ。

『術士アブラメリン 聖なる魔術の書』マクレガー・メイザース/(株)トライアングル
 黒野忍翻訳版。メイザースが大英博物館から発掘した、14世紀の魔術師アブラメリンの魔術書の邦訳。不思議な魔方陣を用いて悪魔を使役する魔術の実践マニュアル。占いとアクセサリーの店《トライアングル》が発行したものなので、ホームページから購入できる。付録としてお香がついており、魔法陣のところは、むやみに開くと害があるとして、袋とじとなっていた。

『アブラメリンの魔術』マクレガー・メイザース/魔女の家ブックス
 上記同書の松田アフラ&太宰尚翻訳版。トライアングル版と翻訳が違うので、比べてみると面白い。訳者あとがきに「抄訳である」と書いているので、どちらかといえばトライアングル版の方が、原著に近いかもしれない。しかし、こちらの方にはトライアングル版には無い、序文および第一の書の抄訳が掲載されている。

『高等魔術実践マニュアル』朝松健/学研ムー・ブックス
 日本の高等魔術研究の最一人者による、高等魔術の実践マニュアル。第2部の実践篇には、メイザースが英訳した魔道書『アルマデール奥義書』をベースとした、六大天使(ツァドキエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル、サマエル、ミカエル)の召喚方法が記載されているので、天使召喚士を目指すなら、絶対に持っておくべし。

『禁書 黒魔術の秘法 悪魔学入門』流智明/二見書房
 すでに紹介した『ソロモンの鍵』や『アブラメリンの書』などの魔道書の他、「エノキアン」、「ブードゥー」といった、7種類の黒魔術が解説されている実践マニュアル。中でも、フランツ・バートンの『喚起魔術の実践』をベースとした、ハイアモンやアシネルなどの精霊の召喚を扱っているのは珍しいんじゃないだろうか。巻末には魔術用語集もついているので、なかなかオススメ。

『高等魔術の教義と祭儀』エリファス・レヴィ/人文書院
 エリファス・レヴィは19世紀フランスの魔術師で、これは1855年に出版されたものの邦訳。「教義篇」と「祭儀篇」に分かれおり、「祭儀篇」には実践的な内容が多い。四大精霊を呼び出す「四つのものを呼び出す呪文」や、ネクロマンシーを扱った「降霊術」などが参考になるだろう。

『魔術 理論と実践』アレイスター・クロウリー/国書刊行会
 クロウリーは「20世紀最大の魔術師」と呼ばれるほど、現代魔術に多大なる功績を残した人物。彼の魔術世界を解説した本著は、魔術師を志すならば、絶対に持っておくべし。本著に記された「サメクの書」はクロウリー流の召喚儀式であり、〈聖守護天使〉の召喚を目的としている。

『召喚魔術』イスラエル・リガルディ/国書刊行会
 そのクロウリーの弟子でもあった、著者により、召喚に関する魔術儀式を集めた本。「サメクの書」に基づいた「生まれざる者」の儀式と、エノク魔術に基づいた「物見の塔」の儀式の実践マニュアルがメイン。付録としてエジプトやギリシアの召喚儀式もある。

『高等エノク魔術実践教本』ジェラード・シューラー/国書刊行会
 その「物見の塔」をより具体的に解説した、「エノク魔術」の実践ガイドブック。「エノク魔術」というのは、ジョン・ディー博士が天使から授かったという、天使語とされるエノク語を用いた魔術の事。「エノク魔術」における精霊、天使の召喚法の実践が記されている。

『魔女の聖典』iconドリーア・ヴァリアンテ/国書刊行会
 イギリスのガードーナー派ウィッチクラフトの重鎮である、現代魔女術の解説本。巻末に、「影の書」という魔女術儀式の実践マニュアルが記されており、その中には「月の女神の召喚」と「角ある神の召喚」もある。魔女になりたい方は、絶対に持っておくべし。

『魔法 その歴史と正体』K・セリグマン/人文書院
 魔術の歴史的解説や、錬金術、占星術などの解説、代表的な魔術師の紹介など、魔術の百科事典的な本。「悪魔の儀式」の中に、いくつかの魔道書に基づいた、悪魔召喚の方法が記されている。中でも珍しいのは、ファウスト博士が記したという魔道書『偉大にして強力な海の霊』について言及されている点で、水木しげるの『悪魔くん千年王国』の元ネタと思われる記述が多い。

『悪魔学大全U 降霊術』酒井潔/学研MU文庫
 原著は1931年に出版されたものなので言葉遣いが難しいが、戦前の日本に西洋魔術を紹介した本である。上記のセリングマン『魔法』にも紹介されているルキフグ・ロカフェルの召喚方法が、「降霊魔術」に記されている。しかも、『魔法』は1948年に出版されたものなので、こちらの方が先に紹介していた事に驚き。


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