A BAD FRIEND 平成14年
11月21日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD10
これがオイラのバカ・トモダチだ!
よしぼう

住所・不定 年齢・不詳 職業・謎の料理人
昔、世界を放浪した。
無茶もした。
放浪し、無茶をしながら、世界の料理を学んだ。
流れ流れて、アメリカでコックになった。
腕を磨き、長崎に帰った。
長崎市内で、『洋食屋ゴーシュ』を開いた。
宮沢賢治の、「セロ弾きのゴーシュ」が
好きだった。
洋食屋とはいうものの、作る料理は
無国籍。
常に研究、常に斬新オリジナル。
素材には、とことんこだわる。
素材あっての料理。
絶対に、妥協しない。
当然、無農薬。
シンプル・イズ・ベストを標榜する。


時折、フラッと顔を出す。
金子農園を歩き回り、
野菜をかじって回る。
タマネギ、人参、大根、キャベツ、
すべてそのまま丸かじり。
ミカンは皮ごとかぶりつく。
皮ごと食べて飲み込み、
にっこり笑って、「うまか!」。
珍しい野菜が好きな君子さんと話がはずむ。
珍しい野菜が分からない父ちゃんとは、
話がはずまない。
でも、父ちゃんとはなぜか、馬が合う。
「兄貴と呼ばせてほしい」
と言うので、義兄弟の杯を交わした。

「ホッ、ホッ、ホッ」と笑顔はかわいいが、
気むずかしいのは、兄貴そっくり。
嫌な客は、「帰ってくれ」と追い出す。
金を追っかけてない。
究極の味を追っている。
だから、客に媚びない。
確かな、「自分」を持っている。

馬鹿な兄に、馬鹿な弟。