A BAD FRIEND 平成14年
7月8日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD2
これがオイラのバカ・トモダチだ!
えんちょう
住所不定。年齢・自称56歳。某町保育園園長

誠実・実行の男である。
と、選挙のポスターには書いてある。
上の写真は、そのときのポスターだ。
町議選に出馬し、トップ当選した。
オイラも応援した。
畑で仕事していると、選挙カーで通って、
「金子さーん、お仕事ご苦労様です。
今晩、遊びに来てくださーい。うまい焼酎があります」
とマイクで叫ぶ。
そういう男だ。
つぎの選挙で落選した。
そういう男だ。


これは、オイラが描いた。
園児を連れて、オイラの家にしょっちゅう遊びに来る。
そのときのスケッチだ。
ナタで木を切って刀を作り、園児全員に持たせて
チャンバラごっこをさせる。
高い崖を登らせる。
怪我をして泣けば、
「それくらいで泣くなー!」と叫ぶ。
都会の保育園なら、間違いなくモンダイになる。
でも、地元では誰もモンダイにしない。
なぜなら、「えんちょう」だから。
そういう男だ。


キジバトのつかまえかた、羽根のむしり方、
タヌキのワナのかけ方、タヌキ汁の作り方、
鶏のさばき方、エイの料理法、
マムシ酒の作り方、
何でも教えてくれる。

よくしゃべる。
サービス精神旺盛だから、話は面白い。
でも、面白い部分は、たいがい作ってる。
「えんちょうの話は半分に聞け」と、
誰もが言う。

「誠実」かどうかは意見が分かれるところだが、
「実行」は嘘じゃない。
「過疎の町にしてはならない」と公約し、実行した。
若くして奥さんに死なれ、男手ひとつで
子どもを育てた。

最近、再婚し、子どもを二人もうけた。
少子化で保育園の経営もむずかしくなっているからか、
自分で園児を増やす。自給自足。
そういう男だ。

同居している長男にはすでに子どもがいる。
そこへ親父(えんちょう)の子どもが出来た。
親父の子どもより、長男の子どものほうが年は上。
長男の子どもにしてみれば、じいちゃんの子どもは
女の赤ちゃんではなく、おばさんだ。
子どもたちに理解できるだろうか。
白髪のえんちょう、会う人ごとに、
「かわいいお孫さんですね」と言われ、くさってる。