A BAD FRIEND | 平成15年 5月17日 |
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ああ言わなくても 交遊録 |
BAD20 | |
これがオイラのバカ・トモダチだ! | ||
まさおちゃん | ||
(住所・不定 年齢・不詳 職業・包丁一本) | ||
☆ まさおちゃんは、オイラが昔、まだ東京で サラリーマンをしていたとき、 会社の帰りによく寄っていた 飲み屋のおやじだ。 おやじと言っても、オイラより若い。 江戸っ子で、無愛想だから、 初めての客は、慣れるまで時間がかかる かもしれないが、気が合えば 長いつきあいになってしまう。 そうやって長いつきあいをしている常連が 何人もいる。 オイラも、客からトモダチになって、 かれこれ30年。 ☆ 志ん朝が好きで、 自分も志ん朝みてえな顔してて、 巨人ファンで、だから 巨人が勝てばニッとうれしそうな顔をし、 出しゃばらず、 自分でもチビリチビリやりながら、 黙々と料理をつくり、 それは、「独り楽しんで」いるようでもあり、 それでも客の話はちゃんと聞いていて、 たまにボソッと口を挟み、 お愛想は言わず、 愚痴も言わず、 優しい人には優しく、 エラそうにするやつ、横柄なやつが嫌いで、 嫌な客には、「帰ってくれ」とも言う。 ☆ ひさしぶりで東京にいけば、つい、その つまんねえ仏頂面が見たくなって、 フラフラと寄ってしまう。 いや、白状すれば、 恋女房さよこちゃんの笑顔のほうがお目当て でもあるんだが。 「こんちは」 「おや」 「まあ、めずらしい」 で始まって、気がつけばいつも終電。 ☆ 東京の町はすっかり変わっちまったが、 変わらぬ人情もある。 「いくら?」 「やめてよ」 「でもさ」 「なに言ってんのよ」 バカなトモダチを大事にして、ときどき ショーバイを忘れる、 バカな男。 |