A BAD FRIEND 平成16年
5月8日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD30
これがオイラのバカ・トモダチだ!
やとう
(住所・不定 年齢・61か62 職業・米屋)

小学校時代からの、いわゆる竹馬の友というやつで、
あまたいる悪友の中でも、最も古い悪友のひとり。
オイラのことを、いまだに、「かずちゃん」と呼ぶのも、
こいつを含めてもう、数人しかいない。そのなかでも、
いまだに年賀状をくれるのは、こいつひとりだ。

小学校時代、野球はオイラのほうがうまかった。
でも、相撲はこいつのほうが強かった。
勉強はオイラのほうができた。
でも、気持ちはこいつのほうが優しかった。
時過ぎて、お互いに結婚。
オイラは九州から嫁さんをもらった。
こいつは隣の家から嫁さんをもらった。
オイラは糸の切れた凧。。
こいつは自分の生まれ育った土地を
大事にするやつだった。
オイラは東京を捨てた。
こいつはまだ生家で家業をついでいる。
えらいやつだ。

昨年上京した折、何十年ぶりかでこいつの
家を訪ねた。米屋をしている。
ガラス戸をのぞくとかみさんがいたので、
「すみません、ちょっとお尋ねしたいんですが…」
ととぼけると、
「えっ、かずちゃん?」ときた。
いいねえ。驚くねえ。
商店街の女将さんだねえ。
何十年もたってるのに一発だもんね。
で、もう一計。
もうすぐ配達から帰るというので、
じゃ、帰ってきても後ろを向いていて
びっくりさせようとなった。と、やつが帰ってきた。
「あれ、かずちゃん、どうしたの」だって。
顔も見てないのに、何十年ぶりなのに
連絡もしてないのに、なんで分かっちゃうの。
うれしいね。
悪友だね。