A BAD FRIEND 平成16年10月1日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD33
これがオイラのバカ・トモダチだ!
いんちょう
(住所・不定 年齢・不詳 職業・不明)

ドクターである。
某町立病院の院長をしていたが、
「一度、大学教授というものになってみたくて」
病院を辞め、某大学の教授になった。
しかし、「思い描いていたものと違って」
教授も辞めた。
いまは某国立病院の院長をしている。

田舎暮らしに憧れて、山小屋を建てた。
ソバを植えたいと言うので種を上げたら、
いっぱいできすぎて、
「なにか効率のいい脱穀の方法はないですかね」
と聞いてきた。
「そんな効率とかスピードとかを考えてるんじゃ
田舎暮らしなんて辞めなさい」
と言ってやった。
そしたら、「ハハーッ」と頭を下げ、
ココロを入れ替えて、
オイラの弟子になった。

業界では有名なドクターで、
顔も広いし、ファンも多い。
しかし、ある日、悩みの相談メールを送ってきた。
「ある人から、ひどい屈辱的なことを言われて
落ち込んでます」
よくよく聞いてみたら、なんとそいつは
オイラの弟分だった。

外ではえらいセンセイも、
家では頭が上がらない。
頭が痛い、体の具合がおかしいと訴える
カミサンを、「更年期障害だ」と放っておいたら
あとで、アブナイ病気の前兆と分かり、
以来、信用ガタ落ち。

ある時、講演の帰りに、電車の中で倒れた。
「忙しくて昼食がとれず空腹で目の前が
真っ暗になって」通路にバタンとなった。
「なんだ、なんだ」とか、
「この人、死んでる」とか、
車内中、大騒ぎになった。
車掌が飛んできて、
「どなたかドクターはいませんか」と
叫ぶのが聞こえた。
その声で意識が回復した、この院長、
ハイ、と小さく手を上げて、
「ふざけないでください」と
怒られた。