A BAD FRIEND | 平成17年3月1日 | |
ああ言わなくても 交遊録 |
BAD36 | |
これがオイラのバカ・トモダチだ! | ||
うー | ||
(住所・不定 年齢・不詳 職業・不明) | ||
☆ 大学時代の悪友。 同窓生だけど3つ年下。 それはオイラに原因があるのであって、 こいつが進んでるわけじゃない。 ☆ 当時、大学闘争激しく、学内はバリケード。 授業はなし。 だから、オイラは山へこもり、 ロッククライミングさんまい。 こいつは、都内の某超二流ホテルに 住み込んでレストランでアルバイト。 その宿舎にもレストランにもよく行った。 ☆ 黙って座れば、こいつが来て、 注文をとる。 当時、つきあっていた彼女を連れて ステーキをふたつオーダー。 食べ終わるとまたこいつが来て、 アリガトウゴザイマシタ!と 頭を下げて、 あとはうまく処理してくれた。 いいやつだった。 3畳ひと間の宿舎では、よく こいつのギターを聴いた。 ボブ・ディランや、ジョーン・バエズ。 千鳥ケ淵の桜や新緑を眺めながら 『風に吹かれて』をふたりで唄った。 ☆ オイラがヨーロッパ・アルプスへ行くとき、 学内でこいつがギターの弾き語りをやり、 帽子に金を集めてくれた。 ☆ オイラが鎌倉の海の家でアルバイトしている とき、こいつは若ーい彼女を連れてきて、 芥川賞の小説のようなことをやってた。 ☆ それから、こいつは旅に出て、消息不明に なった。 どこかでのたれ死んだと思っていたら、 何十年ぶりかで電話してきて、 「おれは、お前におごってもらった カツ丼の味がいまでも忘れられねえ」 と言った。 ステーキのことは覚えてないと言う。 どっちも、やってあげたことは なにも覚えてなくて、 やってもらったことはいつまでも 忘れないでいる。 声は昔と変わってなかったが、 いまは真面目に働いているのだという。 時はひとを変えるのだろうか。 |