A BAD FRIEND 平成14年
9月15日
ああ言わなくても
   交遊録
BAD8
これがオイラのバカ・トモダチだ!
たー
住所・不定 年齢・不詳 職業・山師

昔、長距離トラックに乗っていた。
ミカンやスイカを東京や大阪へ運んでいた。
ある日、そのトラック稼業から足を洗った。
ふつう、足を洗えば身がきれいになるところだが、
この元トラック野郎、足を洗ってから汚れた。
顔も腕も真っ黒け。
炭焼き師になった。

8年前のある日、その炭焼き師のところへ
ひとりの男が現れた。
オイラだ。
その日から、オイラの炭焼きの師匠になった。
師匠だから、オイラ、頭が上がらない。
「この木を切れ」と言われれば、「ハイ」
「この薪をくべておけ」と命令されれば、「ハイ」
なんでも、言いなり。
でも、お陰で、オイラも免許皆伝。
いっぱしの炭焼き師になれた。
チェーンソーの使い方、刃の研ぎ方、
樫の木の見分け方、切り方、運び方、炭の焼き方、
それ以外にも、山の仕事はAからZまで教わった。


この炭焼きの師匠、生意気に
ゴルフをしている。
オイラと会ってから、ゴルフを始めた。
ゴルフのイロハから、オイラが教えた。
キャデイバッグもパターもオイラのお古をあげた。
つまり、オイラがゴルフの師匠だ。
こいつが弟子。
ゴルフの話になれば、こいつはオイラに
頭が上がらない。

「金子さん、こげん軽か丸太の担げんと。
腰のふらついとっとばい」
と言われたら、
「あ、そう、じゃあ、スライスの直し方、
教えなくてもいいんだ」
とやり返す。
お互いが師匠になったり、弟子になったり。
いそがしい師弟関係が続く。