OH!JAPANESE オドロク尾戸録 金子農園
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その10
〔モッテコーイ〕
 五島のトライアスロンに行ったときのこと。
 前夜祭があって、参加者を歓迎してしてくれた。まあ、大概どこの大会でもやってくれるんだけど、遠い地方の大会ほど盛大にやってくれる。五島もどこにも負けないほどの素晴らしい歓迎パーティをしてくれた。
 民俗芸能の歌や踊り。そして、ドンドコ、ドンドコ、勇壮な太鼓が鳴り響き、鬼のような格好をした男達が飛び跳ねて会場を練り歩く。
 郷土料理をつまみ、ビールを飲みながら、キャーキャーと宴は最高潮に盛り上がったのだが、明日はレースなのでそこでお開き。鬼たちは引き上げて行ったのだった。
 さて、そのときだ。
 会場から、突然、「モッテコーイ!」の大合唱が始まった。
 あっちからも、こっちからも、「モッテコーイ!」「モッテコーイ!」
 なんじゃこりゃ。何を持ってこいと言うのか、と辺りを見渡す。
 
 固唾をのんで見守っていたが、誰も何も持ってこない。
 と、さっきの鬼たちが戻ってきてまた、踊り出した。会場から拍手、拍手が続く。
 そうか、分かった。いや、となりにいた人に聞いたら教えてくれた。
 アンコールのことなのだ。なんでアンコールがモッテコーイなのかは知らないけど。わかりっこないよなあ。
 
 10月7、8、9日に、長崎諏訪神社の秋の大祭、「長崎くんち」がことしも開催される。国の重要無形民俗文化財に指定されていて、360年の伝統を誇ると言われる長崎名物のお祭りだが、このお祭りの時に、蛇踊りなどの出し物が披露されると、この、「モッテコーイ」が飛び出すらしい。まだホンモノを見たことがないからよくは知らないけど。
 「今日は死ぬのにもってこいの日」(ナンシー・ウッド著)という本を、昔、二男からプレゼントされたことがあったけど、これは関係ないか。

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
梅干しは丑(うし)の日につけるな。
  梅干しの本づけは申(さる)の日につけろ。
  
 うしの日につけると黒くなる。
   さるの日につければ猿の尻のように赤くいい色がつく。
   んだってさ。