OH!JAPANESE オドロク尾戸録 金子農園
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その13
〔せからしか〕
 2月はモズク漁のシーズン。
 午前中採ってきたモズクを、午後はモズクに混じっているゴミをより分けて取り除き、3時までにきれいにして出荷する。今頃はこれをずっとやっている。
 モズクを採ってきて、車庫でゴミを取っていたら、郵便屋が来て、「せからしかろう」と言う。「うん、モズクはこれがなあ。せからしか」
 いまだから、そう応えられるのだが、初めは分からなかった。
 「めんどくさい」という意味だ。
 めんどくさいが、せからし。なんでこうなるの。
 
 そのほかに、こんな使い方もする。
 「この子はせからしかねえ、もう。あっちへ行っとかんね」
 これは、「うるさい子だねえ、あっちへ行ってなさい」という意味だ。
 めんどくさいとうるさいが一緒。なんでそうなるの。 
 

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
水の中にお湯を入れてはならん。
  
分かるかなあ。わっかんねえだろうなあ。
 今頃はあまり見かけないが、昔は葬式の時、湯かんと言って、死体を棺に入れる前に、湯できれいにぬぐった。アタシなんかも、じいちゃんが死んだときやったからね。よーく覚えてる。その際の儀式として、タライの中に(タライは分かるか?)まず水を入れてから、そのあとでお湯を入れたんだな。お湯が先じゃないのよ。
 だから、たとえば風邪を引いたりして薬を飲むときなんか、コップのなかに水を入れて、そのあと、そうだ冷たいからお湯を入れようなどと言って、お湯を入れたりすると、「さかさまやるんじゃない!縁起の悪か!」と怒られるというわけ。
 まずお湯を先に入れてから、そのあと水を入れるならよし。それなら縁起が悪くない。
 そうか、だから、焼酎のお湯割りをつくるときも、お湯が先なんだ!?