OH !JAPANESE オドロク尾戸録 金子農園
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その14
〔オサエ、フカエ〕
 ナマコ漁とウニ漁は2月いっぱいで終わったが、モズク漁は3月も続けられる。
 船の上から箱眼鏡をのぞいて、竿で掛けて捕るこれらの漁は、大概は夫婦二人が組んで行う(オイラはいつもひとりだけど)。
 ナマコ漁のときがとくにそうなのだけれども、どちらかひとりが船の操縦をして、もう片方が漁をする(オイラはそれをひとりでやる)。
 カアチャンが櫓を漕いでトウチャンが漁をする夫婦もいれば、その逆の夫婦もいる。その漁の際に、この言葉が飛び交う。
 「オサエ、オサエ!」、「フカエ、フカエ!」
 「バカ、フカエって言ってるだろう。フカエだよ、フカエ!」
 最初、何を言ってるのか分からなかった。
 フカエとオサエ、何だこれはと聞いていた。海をのぞいている方がいつも怒鳴っているから、これは櫓を操る者に指示を与えているのだなと理解はできたが、意味が分からなかった。
 そこで聞いてみた。
 「オサエは押す、フカエは引くことばい」
 なんだそうかと頷いたが、しかしこれがよく考えるとなかなかに難しいモンダイなのであった。
 さて、そこで問題です。
 もしアナタが竿を持たされて箱眼鏡で海の底をのぞいたとしましょう。ナマコが船の右の方に見えるので、もう少し船を右に寄せてもらいたいと思う。このとき、あなたは漕ぎ手に向かって何と叫びますか。「オサエ!」と言うか、それとも、「フカエ!」と言うか。
 ちなみに、オイラの船の場合、櫓は左舷に付いているので、漕ぐ姿勢は右肩が船首の方に向きます。
 ま、考えてみてください。
 

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
ナマコのくされはやけどに効く。
  
ナマコのくされというのは、ナマコの腐ったやつのこと。
 ナマコの嫌いな人には、生きているナマコでも気持ち悪いのに、これの腐ったヤツとなると、見ただけでウッとなるでしょうね。ある時、浜辺でたき火をしていてやけどをしたら、近所のお婆さんが、ビンに入れて密封したドロドロのソレを持ってきた。気持ち悪かったけど、折角だからと塗ってもらった。4、5日して傷は治ったけど、ソレが効いたのかどうかは不明なのであった。