OH !JAPANESE オドロク尾戸録
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その40
〔どくべん〕
 稲刈りも終わったことだし、たまにはみんなでイッパイやりませんかと仲良し4人に声を掛けたら、やろうやろうとすぐ話はまとまった。じゃ、いついつうちでと誘うと、ひとりが「じゃ、どくべんでやろうかい」と言った。
 どくべん、ドクベン、毒弁?
 「どくべんって、なんですか?」
 「金子さんは、まだ分からんことがあっとね」
 「だって、どくべんなんて初めて聞きましたよ」
 「どくべんちゅうのは、それぞれが持ち寄りでって意味たいね。標準語で言えば、割り勘ってことかな。昔は、そうやって各人が家にあるものをなにかしら持ち寄って、あるもんで飲んだものよ」
 「そうですか、独弁ってことなんですね」
 「字は知らんばってん、どくべんって言えば、魚を持ってる者は魚を、芋を持ってる者は芋を持ってきたりしてね」
 

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
ヒラクチを捕まえたかったら焼いたエイのイオを置いておけ。
 
毎年、稲刈りの時に必ずマムシが出るので、ことしは捕まえてマムシ酒をこしらえようと捕獲用具を作っていたら、遊びに来た友だちから、ヒラクチを捕まえるんだったら焼いたエイのイオをカメに入れて田んぼに埋めておくといいと言われた。
 ヒラクチというのはマムシのこと、イオというのは魚のこと。マムシは焼いたエイの臭いが好きでいくらでも寄ってくるのだと言う。
 エイは捕れなかったので、捕獲用具だけを用意して待ち構えていたのだけど、どういうわけかことしに限って、マムシは1匹も現れなかった。