OH!JAPANESE オドロク尾戸録 金子農園
声に出して言われてもワカラナイ日本語
その5
〔とぜんなか〕
 「カアチャンは東京へ行ったと」 「はい、今朝いちばんで」
 「いつまで行っとっと」 「1週間くらいって言ってたけど」
 「そりゃまた、とぜんなかねえ」 「はあ?」
 「とぜんなかろう」 「と・ぜ・ん・な・か?!…」
 「ハハハ、分からん?」 「うん、ワカンナイ」
 「とぜんなかが分からないの、数ちゃん」 「分かりませんよ、そんな方言。トー ゼン、分かるわけナカですよ」

 いまは分かる。いまは分かるけれど、初めは分からなかった。
 「さびしい」という意味だ。
 「カアチャンが1週間もいなけりゃ、さびしかろう」というのだ。
 
 「雨ばかり続いて、外にも出られんで、とぜんなか」というように、「なんにもやることがない」「手持ちぶさた」というときにも使う。
 
 ところで、これを方言だと思っていたのは、恥ずかしながらアタクシの不勉強でありました。
 ある時、田辺聖子の本を読んでいたとき、昔の人の話の中でこれが出て来た。で、調べてみたら、ちゃんと、「徒然」で広辞苑にも載っていたのである。
 尾戸の言葉、恐るべし。

バアサマの言い伝え(暮らしの知恵・格言集)
漁に出るときゃ酸っぱいもんは持って行くな
 なんでだろう、なんでだろう。
 それは、「すもどり=素戻り」するからなんだって。
 釣りに行くとき、おやつに食べようと思ってミカンを持っていって怒られた。でも、このときは結構釣れたけどなあ。