45 収入(2)

Q441:あのー、またお金のことで申し訳ないんですけど。 A441:なに、どしたの。


Q442:年収100万円って、この前言ってましたけど、それっぽっちでほんとに暮らしていけるんですか。 A442:暮らしていけるかって言われても、現にこうして生きてるんだから…。別にウソなんかついてないよ。
 無なけりゃ無いなりにやっていけるんだって。だって知ってるでしょ。こうやってビールも飲むし、ウイスキーも飲むし、別に困ってないよ、うちは。おれんとこ見て、かわいそうだなあって思うかい。思わないでしょ。


Q443:そうですけど、でもどう考えても100万円じゃ暮らしていけないでしょう。 A443:そう言えば、この前ね、年収100万円って話を書いたら、すごい反響があってね、メールをたくさんもらった。農業って大変なんですねって。多分、これでびっくりして、夢見ていた田舎暮らしをあきらめた人が大勢いると思うよ。実際、これは横浜の人だけど、「あきらめます」っていう人がいたからね。


Q444:夢無くしちゃいますよ。 A444:でもさ、ちゃんとやれば、農業でも食べていけるって言ったよ。あくまでも、おれは、おれ流の生き方でやってるわけで、みんなが同じやりかたをしなくてもいいんだから。


Q445:でも、いくら自給自足と言ったって、かかるものはかかるでしょう。 A445:そう、電気、ガス、水道、税金、その他もろもろかかるよね。ガソリン代もバカにならない。船の燃料、草払い機や耕耘機の燃料。新聞だって読みたい。でもね、都会とくらべれば税金だって何だってすべて割安だし、たとえばクルマだって軽自動車なら税金も車検も安い、燃費もいい。高速道路なんて無いから高速代もかからない。車庫代も駐車料もない。飲んで運転したって罰金なんて取られたこともない。あ、これはまずいか。


Q446:衣食住の食と住はいいとしても、衣はかかるでしょう。 A446:衣なんて、いらない。どこへも出掛けないし、畑や海だったらボロでいい。まわりもみんなボロ着てるし。田舎はね、格好なんか気にしなくていいのよ。アルマーニもボルサリーノも、グッチもヴィトンもいらないの。だいいち、そういうもの身につけてたって誰も分かってくれない。


Q447:そうかもしれないけど、たまにはゴルフに行くとか、飲みに行くとか、旅行だって行きたいでしょ。奥さんなら、ショッピングとかも。 A447:ショッピングねえ。うちの近くに中村ショッピングっていう小さな食品のスーパーみたいなのがあるんだけど、そこにたまに行って、砂糖とか牛乳を買うかな。ゴルフ場はうちから歩いていけるけど行ったこともないし、行きたいとも思わない。飲みにも行きたいと思わない。うちのホームバーで十分。旅行は行きたくなったらエッセイを書く。


Q448:なんか、無理してません? A448:アノネ、無理するんだったら、やめたほうがいい。お金ってね、あればあるだけの使い方をすると思うんだよね。たくさん持っているともっと欲しくなるし。でもね、無いとね、無くて平気なのよ。


Q449:ワカンナイなあ。お金がなけりゃ、世の中、生きていけないでしょう。 A449:うーん、そうか。そうなんだ。小学生が、渋谷へいいアルバイトを見つけに行っちゃうんだからなあ。お金ねえ。怖いねえ。


Q450:お金を持っている人がお金なんてというのは分かるけど、お金を持たない人が無くてもいいなんて言うのは、ただの負け惜しみですよ。 A450:ハイ。すみません。