自給自足
  半農半漁
     晴耕雨読
       
物語
自給自足で
自然に暮らす
人生の楽園


     27 貝を掘る、海藻を採る (アサリ、サザエ、ワカメ)
 おかずを採りに下の海へ。妻がバケツを持って下りて行く。
 小一時間もすると、バケツを重そうに持って上がってくる。アサリがいっぱい入っている。アサリ以外にも、サザエ、マガリ、ミナ、オンジ貝、チュウチュウ貝、ヒョーロギ貝なども入っている。どれもみなおいしい。冬はついでにナマコやウニも捕ってくる。
 下の海は、よそからは誰も入ってこないので、わが家のプライベート・ビーチ&潮干狩り場で、岩場は貝の宝庫になっている。
 自給自足。妻は、貝採り名人だ。お陰でぼくは、一年中、「潮の香りでイッパイ」が楽しめる。
  
    ぼくは、あまり貝採りは得意じゃない。いや、あまりではなく、ぜんぜんダメと言った方がいい。
 友人のサザエ採り名人に何回か連れて行ってもらったのだが、採れる量のあまりの違いにショックを受けて、いまだに立ち直れないでいるのだ。
 ぼくはトライアスリートだから、泳ぐのはいくらでも平気。ただ、平気なんだけれども、ぼくの泳ぎはスピードと距離。つまり、横へ(水平に)泳ぐのはいいということ。片や、サザエ採りはもぐり。縦(垂直)に泳がなければショウバイにならない。ぼくは、このもぐりが苦手なのだ。ぜんぜんできないというわけではないけれど、名人のように深く長くもぐっていられない。
 ぼくが1回もぐってせいぜいサザエ1個なのに対して、名人は一度に6、7個採ってくる。もぐる回数も違うから、ぼくがやっと10個採るうちに、名人は100個ぐらい採ってくる。50歳過ぎて始めた初心者と、子供の頃からもぐっていた名人の違いで、この差は埋めようがない。
 
 大村湾はカキの養殖も盛んで、友だちにも何人かやっている者がいる。ぼくも、やろうとはしているのだけれど、まだやっていない。なので、シーズンになると、友だちに声を掛けることにしている。一度に20kgほどドサッともらい、カゴに入れて船の下に吊しておき、少しずつ食べる。「なくなった」と言えば、また持ってきてくれる。ホントに持つべきものは友だちだと思う。つぐちゃん、ハマちゃん、いつもありがとう。 
 カキって、本当にうまいもんね。「ペロッ!」。ああ、冬が待ち遠しい。
 大村湾では海藻も採れる。
 モズク漁については前に書いたが、そのほかにワカメやアオサが採れる。
 ワカメは、港の堤防に生えているのを、手づくりの竹の棒(先端に卍状のかぎをつけてある)の先にグルグルと巻いて引っかけて採る。ぼくは、竹の棒の先にカマを取り付けて、そのカマでワカメの根っこを切り、それをすくって採る。堤防の上からでも採れるが、ぼくは船の上から採る。大村湾のワカメは柔らかくておいしい。
 アオサは、岩の上についているのを手でむしって採る。みそ汁に入れる。
 海に流れ込んでいる河口近くの川では、アオノリが採れる。アオノリは、干したあと細かくもんで、振りかけにする。香りがおいしい。