自給自足・半農半漁・晴耕雨読の物語
自給自足で


41 カキのこと (養殖を始める)
「牡蠣の殻なる牡蠣の身の
かくも果てなき海にして…」
生のカキをむいていると、きまってこの詩が浮かんでくる。
中学か高校のときに読んだ海潮音。(違っていたらゴメンナサイ)。
それも、このフレーズだけ。この先は完璧に忘れてる。
カキは、大好物でよく食べる。
よくもらう。カキを養殖している友だちが3人いて、
「食べたい」と言うと、ドサッと持ってきてくれる。
たいていは2日や3日では食べきれない量なので、
カゴに入れて港へ持って行き、船の下に吊して、
海に生かしておく。誰かが遊びに来たときに取りに行き、
「うめえなあ」といいながら一緒に庭で焼いて食べる。
カキフライも好き。きょうも腹一杯食べた。
レモンは庭になっている。
カキは殻付きに限る。
火は炭に限る。
パチパチはねるので、焼くのは庭に限る。
焼き過ぎはダメ、レアに限る。
アツアツをフーフー言いながら頬張るに限る。
カキは、やたら限るのだ。
限らなければいけないのだ。
もちろん、脇には酒を置く。
カキだけ食べて、酒を飲まないのは、馬鹿というしかない。
酒はなんでもいい。
ワイン、日本酒、ウイスキー、焼酎、泡盛、ドブロク。
うまい酒なら、なんでもいい。
酒は、限らない。
酒を限るやつは、馬鹿というしかない。
もらってばかりでは気が引けるので、
自分で育てることにした。
カキの養殖。
「よかさ!」にも書いたように、竹を切ってきて
養殖用のイカダを組んだ。
組んだイカダを船で養殖場まで運び、据えた。
ぼくの汗と、妻の血が混じったカキが、
ことしの暮れには誕生する、はず。
うまく行けばの話だけどね。
カキの好きな人は、遊びにおいで。
1本下げて、な。