自給自足・半農半漁・晴耕雨読の物語
自給自足で


44 牡蠣のこと 2 (牡蠣を上げるのこと)

牡蠣の養殖を始めたことは前に書いた。
君子さんが足を骨折したりして大変な思いをして
牡蠣棚をつくった。
それから1年。
できた。
いよいよ、棚から上げる時期が来た。
途中、春夏秋の間は何もしなかった。
それでもできていたのだから、牡蠣はえらい。
一人では大変そうなので、ミカン狩りに来た
福岡のフーちゃんの旦那とその友人に
手伝ってもらった。
大変だった。どう大変だったか。
まず、牡蠣棚につるした牡蠣を上げるのが大変。
重い。疲れる。汚れる。
牡蠣にはホヤがびっしりつき、しかも泥だらけ。
それを船に上げ、こんどはそのホヤと泥を落とす。
これがもっと大変。
牡蠣だけを取り出し、かごに入れ、
持って帰って、船の下につるしておく。
つるしておくと大きくなるのだ。
食べる分だけを家に持って帰り、庭でもう一度、
水をかけて洗う。
そこまで行くのにもう、くたくた。
食べるまでに疲れ切ってしまう。
庭で牡蠣を焼きながら、
「牡蠣を食べるのが、こんなに大変だとは思わなかった」
と、加勢人たち。
2度目の牡蠣上げの時に来た加勢人も、
同じ感想を述べた。
多分、来年は頼んでも来てくれないだろう。
みんな、店で買って食べるに違いない。
店で買った牡蠣はきれいだ。
そう、だから、友だちに送るときは、さらに
手間がかかる。
1個ずつ、さらにタワシでごしごしていねいに洗うのだ。
正直言って、もう、やってらんない、と
言いたくなる。
売るほどあるんだから、食べに来るんなら
いくらでも食べていい、と言いたい。
でも、「食べたーい、送ってぇ」と言われるとなあ。