自給自足・半農半漁・晴耕雨読の物語
自給自足で


72 脱穀 (サトー式足踏み脱穀機)


この写真を見て、
「わー、懐かしい」というひとは、
1、農家出身の
2、年配の方
である。
実家が農家のひとでも、若いひとには
分からないかもしれない。
ましてや都会のひとには
初めて目にする光景ではなかろうか。

この機械は、「サトー式足踏み脱穀機」
というのだが、近づいてよく見ると、
消えかかった文字で、
「機穀脱み踏足式ートサ」
と書いてある。
横書きなのに、右から書いてある。
若いひとは知らないだろうが、
昔はこうやって、日本語は
右から左へ書いたのである。
嘘だと思うひとは、
お父さんかお母さんに、
いや、おじいちゃんかおばあちゃんに
聞いてみなさい。

いや、そもそも、脱穀(だっこく)が
なんだか分からないか。
「え、囚人が刑務所から逃げること?」
それは脱獄です。
脱穀というのはね、
穀物のつぶを穂からとることなの。
これでも分かんないか。
しょうがない、いいや。あっちへ行って
遊んでなさい。

サトー式と書いてあるので、もしかしたら
佐藤なにがしというひとが考案したのかな
と思って調べたら、なんと、島根県の
佐藤忠次郎さんというひとが、
昭和の初め頃に考案したと、
ある資料に書いてあった。

当時は画期的な発明品だったらしいが、
いま使ってみると、とにかく足が疲れる、
疲れる。
おいらは自転車をやってるから
なんとかなるが、足の弱いひとは、
10分間と続かないだろう。

先人に敬意を表して、
わたしたちは麦やソバを脱穀するのに
使わせて頂いている。