自給自足 半農半漁 晴耕雨読 の物語 |
自給自足で 自然に暮らす |
人生の楽園 |
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8 スイカ (初めての出荷) 「なんばしよっと」 移住に当たって何から何まで世話してくれた、地元の若きリーダー、保育園の園長が、心配で見に来てくれた。 「なにか、売れるもんばつくらんね」 「何がいいですかね」 「休んでた土地には、スイカがいいというから、スイカをやってみたら。もともとここは、スイカの名産地だし」 というわけで、スイカをつくることになった。 翌日、佐藤さんが顔を出した。 「スイカをつくると?」 もう、知ってる。 「はい、でも、スイカって、どうすればいいんですか」 それは、こうしてこうやってと教えられたとおり、とりあえず畑を耕し、下に敷く黒マルチ(ビニール)と、上にかぶせる透明のビニールを買ってきた。竹を切ってきて、ビニールトンネルの骨をつくった。苗にかぶせるキャップや、その他もろもろは佐藤さんが持ってきてくれ、トンネルをつくった。というより、つくってくれた。 苗を140本買ってきた。1本120円。 佐藤さん夫婦がきて、植え方を教えてくれた。というより、やってくれた。 ついでに、メロンも20本植える。これが、3月25日。 |
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スイカを狙ってタヌキが来るというので、周囲に柵をつくる。 4月2日、トンネルは、晴れた日は毎朝開けて、夕方閉めるのだが、この日、曇っていたので開けないでいたら、途中で日が出て暑さでやられ、苗が全部グタッとしなだれてしまった。あわてて佐藤さんの家に助けを求めたが不在、別の地区のスイカ農家へ飛び込んで処置を教わり、トンネルを開け放ち、水をやったらなんとか元気になってくれた。 3日、朝、保育園の園長が来たので話し込んで、10時頃、ビニールを開けに行ったら、もう、暑さでやられ、また苗がしなだれてしまった。あわてて水をやる。 5月6日、わき芽摘み。 10日、授粉。12日、授粉。14日、授粉。わき芽摘み。16日、授粉。 20日、夜中の3時、雷雨激しく、あわててトンネルを閉めに行く。 21日、陽気が良くなったので、きょうから夜もトンネルを開け放つ。 22日、夜中2時半、大雨。あわててトンネルを閉めに行く。おちおち眠ってられない。 23日、カラス除けの糸を張る。 6月6日、畑にタヌキ除けのラジオを置く。 11日、スイカを横に倒して、裏側を出す。地面に接していた部分が白いので。 13日、駆除。19日、駆除。22日、駆除。 23日、出荷。市場へ58個。 26日、佐藤さん、谷口さんを呼んで、スイカ収穫祭。 27日、出荷。市場へ35個。 28日、市場へスイカのセリを見に行く。1回目出荷の代金をもらう。サイズ4L900円×4、3L700円×12、2L600円×12、L500円×18、M450円×7、S400円×4、計3万369円。 まわりから言われていたより、かなり安かったが、それでも、初めて農業で得た収入。うれしくて、感動的で、飛び跳ねたい気分で、「寿司食いに行こう」と車をすっ飛ばしたのだったが、あいにく寿司屋は臨時休業だった。 |
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7月4日、市場へ87個出荷。 6日、倉吉丸(大村の市場)へ50個出荷。 結局、計230個出荷し、20個近所に配り、5個自家用で、合計255個収穫できたのだった。 妻はスイカが一番の大好物。ぼくは種がある物は好きじゃないからどっちでもいいのだが、ことしからつくるのはやめにした。手間がかかるのと、病気が出やすく、薬をかけないとなかなかつくるのが難しいからだ。昨年は無農薬でやって全滅した。 無農薬でつくりにくいものは、いくら売れるからといっても、つくりたくないのだ。 |
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お遊びで、四角いスイカをつくってみた。 これが、なかなかむずかしい。 四国のどこかで四角いスイカを1個2万円で売っているところがあると、テレビで言っていたが、いくらなんでも2万円は高い。たかがスイカ。 最大になる少し前に(この見極めがむずかしいのだが)箱に入れ、育つ力で四角にしてしまうのだが、その育つ力は想像以上に強く、ぼくのつくった箱は釘が抜けて壊れてしまった。それでも、なんとか四角っぽくはなった。 しばらく飾って置いて食べてみたが、味はふつうのものと変わらず、2万円の味ではなかった。 |