平成19年1月14日 Vol 150
よかさ!
田舎の蛙。
 あっという間に時は過ぎて行く。
 一日が過ぎるのも早いけれど、一年が過ぎるのも光陰ディープのごとし。やーねえ。
 いつもよりいい酒を飲んで(友だちが大吟醸や上等なワインを送ってくれたから)、ふだんより高価なものを食べて(友だちが霜降りの黒毛和牛や高級ハムや高級チーズやイクラやそのほかいろんなものを送ってくれたから)、の贅沢三昧は正月ならではのこと。年の初めのありがたや、ありがたや。朝寝、朝酒、朝湯がだーい好きで、こんないいことを3日で終わらせるこたあない。7日で終わらせることもない。ずーと続けたい。一生続けたい。
 年賀状や新年早々のメールを読んでいて面白かったのは、みんな、いろいろあるんだなということが、あらためて分かったこと。田舎にいると何も起こらず、何もないような気がしているけれど、一年の間には都会では様々なことが起こっているんですね。その一部を無断で紹介しちゃおう。

「32年間勤めた会社を退職しました」♂
「3人目の子どもが生まれました。また男です」♀
「息子が年男になり、お風呂に一緒に入れなくなる日も近いです」♀
「離婚しました」♀
「ウルトラマラソン、一緒に走りませんか」♂
「ことし37歳になります。まだ相手が見つかりません」♀
「年金だけでは足りないので今年も仕事頑張ります」♂
「百名山、完登しました」♂
「宝くじ、当たりませんでした」♂
「パタゴニアに行ってきました」♂
「まだひとりです。いい人いませんか」♀
「暮れから入院しています」♂

 スゴイと感心する人もいるし、うらやましいと思う御仁もいる。反面、お気の毒にというお方もいらっしゃる。それにくらべれば、何も起こらず、何もないのが別に悪いことじゃないような気がしてくる。田舎の蛙は都会を知らないしお金もないけれど、おいしいものを食べて、うまい酒を飲んで、毎日きれいな景色を眺めて元気なら、それがいちばんのような気がしてくるんだけど、まあ、考え方だよね。
 それにしても、都会の人は、正月からずいぶん「動いてる」ような気がします。みんな、家にいないよなあ、いたくないのかなあ。
 昔の走友S君は、「正月は自転車で房総半島を一周してきました」
 同じくIさんは、「元旦は箱根に泊まって2、3日と芦ノ湖で箱根駅伝を応援してきたよ」
 昔のゴルフ仲間M君は、「新年コンペで2アンダーで回ったのに優勝を逃しました」
 若いオトモダチのAさんは、「あ、もしもし、いまパリでーす」
 親友のH君は、こう書いてきました。
「元旦は初詣。2日は七福神巡りをし落語を聴きに行き帰りにフグを食べて、3日は妻の実家に行き、4日はゴルフ、5、6日は伊豆の温泉でゆっくりして…。金子さんは、何をしてましたか」
 えーとね、おれはね、「元旦は朝から酒を飲んで、新聞と年賀状を読んで、昼寝して、年賀状の版画を彫って、2日はテレビで箱根駅伝を観て、年賀状を書いて、3日も同じで、4日からナマコ漁に出るつもりだったけど風が強いのでやめてぶらぶらし、5日も同じ、6日は趣味の木工、7日はどんど焼き、8日は何をしたのか分からず、9日はピアノとサックスのレッスンで初めて外出。10、11、12日も正月の続きをやり、13日にやっと仕事始めの漁に出た」というところかな。
 ま、我ながらあきれるほど動いてないよね。
 でも、あれも正月、これも正月。♪あっちもヨイヨイヨイ、こっちもヨイヨイヨイ(これ、正月とは関係ないけど新築祝いの歌)で、いんでないかい。ことしも、なんでもありで行きまっしょい!
 いやいや待てよ。そうだ、思い出した。おいら、ことしから介護保険料を払わなけりゃいけねえんだってさ。井の中の蛙だから、そんなことちっとも知らなかったよ。誰が決めたのよ。そうか、おいらももうすぐ、アッチもヨイヨイ、コッチもヨイヨイになるってわけか。