平成19年11月12日 Vol 166 |
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名古屋城と皇居 東京マラソンへの出場が決まってから、あわてて走り始めた。いつだって父ちゃん、やることは泥縄式だ。
42、195km走るというのにまだ、せいぜい10km走るのがやっと。なんとか10kmは止まらずに走れるようになったのだけど、帰りはいつも歩いて帰ってくる。でも、まだレースまで3ヶ月ある。ぼちぼちやりまっしょう。というわけで、とりあえず毎朝、早起きして走るようには心がけている。 長崎県の『ながさき田舎暮らしキャラバン』の仕事で名古屋と東京へ行ってきたが、ちゃんとランニング・シューズを持参し、前夜の深酒にも負けず、真面目に早朝ランもこなしてきた。 名古屋では名古屋城の周りを走り、東京では皇居の周りを走ってきた。どちらも初体験で、楽しく走ることができた。昔もこうやってどこかへ出張や旅行をしたときにいつも知らない街を走ってきた。朝早く起きて走ると、夜には分からなかった別の街の顔が見えて、いつもなんかトクしたような気分になったものだった。 名古屋は君子さんも一緒で、つきあいの広い彼女は帰りの中部国際空港でお土産をいくつも買い込んでいた。手に抱えたお土産を見ると御福餅だった。赤福はさすがに店頭から消えていたが、まだその時点では御福餅のほうは事件発覚前で、山積みになっていた。 お土産をあちこちに配って翌日、事件の報道。あららとあわてて謝りの電話を入れたがあとの祭り。みんな「うまか!うまか!」と食べちゃったとさ。知ーらないっと。 転んで4針! 小学生の時、よく「廊下で走っちゃいけません!」と先生から怒られた。元気がよかったから、怒られても怒られても走って、また怒られた。そのバチが今頃アタッタのか。「老化で走って」転んでアタマを打ってしまった。 いつものように5時に起きてたっぷりストレッチをし、明るくなるのを待って走り出したのが6時半。国道へ出るまで6km、そこから3km先の直売所を目指して走っていた。なぜ直売所かというと、そこで君子さんが夜明け前から弁当づくりの仕事をしている。だからそこまで行けばスポーツドリンクを買って飲ませてもらえるというコンタン。その直売所まであと200mというところで、左つま先が何かにけつまずいて大転倒。顔面をガチンとしたたかコンクリート道路に打ち付けてしまったというわけ。そんなところでけつまずくのが老化。とっさに手で止められないのも老化だろう。 道路にひかれた白線の外側は40a幅の溝に置かれたコンクリートのフタ。その左側は深い崖。その狭いところに顔を血だらけにして倒れているのに、ちょうど通勤時間帯で車がビュンビュン。体から10aか20aのところをトラックや乗用車がすり抜けていく。誰も止まらない。いや、急には止まれないのか。左肩と左膝も打っている。やっとのこと足を引きずって直売所へたどり着いたのだが、左目の上が大きく腫れ上がり左目は完全にふさがり、シャツも血だらけでみんなびっくり仰天。 君子さんは弁当づくりで「手が離せない」ので、友だちのキョーコちゃんの車でT病院へ。ところが開院前で先生不在。とって返して市民病院へ行くが「きょうは外科の先生がいません」というので、またまた折り返してこんどはO病院へ。そこは開いていたが、待たされること40分。このような場合、こういうのは、どうにかならんのでしょうかねえ。だって、走って汗かいてシャツはびしょびしょ、寒いのよ。イタイし…。それに受付の人「保険証はお持ちですか」だって。持ってないってぇの。格好みれば分かるでしょうに。 でも、診てもらえたので感謝。4針縫って薬をもらってひと安心なのでした。 ジャズ・ピアニスト! コンクリートと喧嘩してやられた3日後が、ピアノ・コンサート。念願のジャズ・ピアニスト・デビューの日。この日のために8月から練習を重ねてきたというのに、左肩激痛、顔は腫れ上がり左目はふさがったまま。でもやるっきゃないじゃない。やりました。 場所は、旧香港上海銀行長崎記念館。ウッドベースとドラムはプロ。発表曲はソニー・クラークの『クール・ストラッティン』。 出来映えは、ちょっと途中で転び掛けたけど根性で持ち直して着地はぴたりと決めた!? とりあえず先生は「よかったよ」と言ってくれたし、間違ったところも君子さんは「気づかなかった」という。 演奏が始まる前までは日常生活でこれ以上はないだろうと思われる緊張状態が続き、演奏後は家に帰るまで興奮状態が続いた。そして翌朝は、至福の充実感が待っていた。 ちょっと前、宮本文昭の『オーボエとの時間』という本を悪友のH君に勧められて読んだばかりだが、そこにこういう一節があった。 「演奏が終わった後には、なにも残らない。そこにあるのは『確かに特別な時間があった』という感覚だけだ」 まさしく、そんな感じ。新しいことに挑戦することは、自分の暮らしを、そして人生を豊かなものにしてくれる。 |