NEWS LETTER
Vol.17
 平成13年9月3日発行

黄金色輝く
 「私は9月が好きです。この9月の空気が好きです」と、メル友の里香ちゃんから、メールが届きました。
 「おとうさんも、9月の空気が好きです」と、返信。
 きのう、田んぼの見回りに行ったら、もう、はっきりと、稲が黄金色になっていました。
 あと20日くらいすれば、稲刈りができそう。株も太く、重そうにこうべを垂れて、ことしも豊作の予感。
 田んぼからの帰り道。「実るほど頭を垂れる稲穂かな、ってか!」などと浮かれながら歩いていたら、栗が落ちてきた。
「よっ、久しぶり。君も秋を知らせに来たのかい」と、イガグリ君に声をかける。もう、完全に父ちゃんは躁状態。「大丈夫?」「大丈夫です」。
 実りの秋。いいなあ。風も、すっかり秋の風。
管理機キレる
 きょうは、日曜日なのに朝からのら仕事。管理機で畑を耕す。もう9日間、こればっか。夏の間、放って置いた畑は、土がカチンカチン。小さな管理機なので、3回ぐらい往復しないと土が返せない。手首がしびれるけど、父ちゃん、めげない。やるときはヤルのだ。
 でも、管理機がキレた。振動に耐えきれず、ピンを支える留め具が吹っ飛ぶのだ。これで3度目。そのたびに(土に埋まって見つからないので)、自分でつくって修理する。
 直って動き出すと、「ああ、おれも少しは百姓になったな」と、自画自賛する。なんでもできなきゃ、百姓ではないんだよね。
たい肥
 午後からは、たい肥を運び、耕した畑にすき込む。
 ミカン園のわきに置いておいたたい肥を、軽トラで畑まで運び、それをたっぷり畑にまく。そして、それをまた管理機ですき込む。
 きついけれども、土が濃いいい色になっていくのがうれしい。ふっくらとした土になり、いかにも、おいしい野菜ができそうな感じがする。自分たちばかりおいしいものを食べてないで、土にもごちそうを食べさせなければ、いかんざき。
 
秋野菜
 力仕事は父ちゃん、種まきは母ちゃん。
 父ちゃんが耕した畑に、母ちゃんが種をまく。
 父ちゃん、ガチガチにアタマ古いから、男と女なんでも同じというのが大嫌い。
 母ちゃんも、アタマかたく、「それでいいんじゃないの」と、難しいことは言わない。
 母ちゃん、明日から、バンバン種をまくと言う。
 ハクサイ、ダイコン、ニンジン、ソバ、ジャガイモ、キャベツ、ブロッコリー、シュンギク、レタス、カブ、コールラビ、ビーツ、ホウレンソウ、チンゲンサイ、セロリ、ソラマメ、コマツナ。
   
ミズイカ 
 「イカが釣れだしたよ」
 待ってました。ミズイカ。この声を聞いたら、父ちゃんは、畑にいません。いや、父ちゃんだけじゃありません。この辺の男衆はみんな、畑から姿を消します。
 「イカを釣れなきゃ男じゃない」からです。
 イカ釣りは、技術がいる。イカをうまく釣るやつが男。だから、みんな夢中になるんです。
 父ちゃんも、このイカ釣り(この辺ではイカフキと言う)が、釣りの中でいちばん好き。仕掛けも自分でつくる。イカとの微妙なやりとりが心を躍らせる。
 ミズイカは、釣りがおもしろいだけじゃなく、食べても、大村湾でとれる魚介類のなかでベスト・ワン。釣りたてのまだ生きているミズイカを刺身にしたら、「ああ、漁師になってよかった」と、つくづく思う。
 琴海町の9月は、うまか!