平成21年5月1日 Vol 177
よかさ!
ゆるゆる体操骨ボキボキ
 長崎へ来て15年が過ぎた。
 もう15年も経ってしまったのか、という感じ。
 越してきて2年後くらいに庭に植えた手首よりも細い背丈ほどのせんだんの樹が、いまでは両腕で抱えきれないほどの太さになって、屋根より高くそびえている。
 先日、尾戸小学校の入学式に「地域の先生」として呼ばれて行ってきたが、新1年生7名の中のひとりの男の子の母親が、なんと15年前に越してきたときまだ小学生だった子なのでびっくりしてしまった。
 また、ひさしぶりにゴルフでも始めてみようかと思って近くのゴルフ場の練習場へ行って研修生にスイングをチェックしてもらったのだが、その若者も最初に知り合ったのはまだ小学生の低学年で、お父さんに連れられて来ていてバンカーで砂遊びをしていた。それがいまではたくましい青年になって「金子さん、アドレスのときそんなに背中を丸めないでもっと背筋を伸ばさないと。バックスイングもインサイドに引きすぎているので、もっとまっすぐ上げた方がいいんじゃないですか」と教えてくれるのである。
 若木も若者も見違えるばかりに大きく成長するが、アラカンも通り過ぎた昔の鞍馬天狗は惨めにガタがくるばかりである。
 容貌の変わりようを言えば、アタマはそれほど白くはなってないが、どこまでがヒタイでどこからがアタマなのか判別がつかなくなったし、風呂上がりに鏡を見ればストリップ小屋の永井荷風のような姿が写っている。ノドのしわが目立ち、太ももの筋肉はどこへ行ってしまったのか。早朝、自転車を走らせれば坂道でゼイゼイあえぐし、ジョギングすれば車が止まって「この頃、歩いていることが多かね。乗っていかんね」と近所のひとから声を掛けられる。
 毎朝、起きると庭へ出て海を眺めながらラジオ体操をしているが、先日、布団にもぐったままひさしぶりにテレビのラジオ体操を見て驚いてしまった。体操のおねえさんの動きがめちゃくちゃ速いというか、きびきびしていて「えっ、ラジオ体操ってこんなに激しいの?」と目を丸くしてしまった。自分がやっていたのはラジオ体操の形を借りたゆるゆる体操で、前傾しても手が地面に着かないし、上体を後ろにそらせば骨がボキボキ鳴る。椅子に座ってラジオ体操をする日はそう遠くないなと悟ったのだった…。 

最新ゴルフクラブにヒャー!
 編集長が昔からの悪友ということもあって、昨年から、雑誌『書斎のゴルフ』に原稿を書かせてもらっている。ベン・ホーガン、ウオルター・ヘーゲン、ボビー・ジョーンズといった往年の名手の人と技術を主に昔取った杵柄で書いているが、自分は長崎へ来たのを境にきっぱりゴルフをやめてしまった。だから15年間やってないわけだが、長崎へ来た当初、つきあいで2回しているので厳密に言えば13年間、一度もクラブを握ってなく、素振りさえもまったくしていなかった。それがひょんなことからキャディバッグを倉庫から引っ張り出してみたら、見事にカビだらけ、錆びだらけのクラブが出てきた。ドライバーとバフィーはホンマのパーシモン。シャフトはスチール。いわゆるクラシッククラブ、骨董品である。こんなクラブはいま、どこのゴルフショップを覗いても売ってないだろう。15年という歳月はアッという間のような気もするけれど、こういうモノの変わり様を目の当たりにすると、凄いことに思えてくる。
 くだんの研修生の青年に最新のクラブを見せられて仰天してしまった。ドライバーはいわゆるデカヘッド。初めて間近で見せてもらたったが、これはマジびっくり。「ヒャー!」と思わず声も出た。プロもアマチュアもいまはみんなこれを使っているとか。材料はチタン。さらに「これが最新のドライバーです」というやつは、なんとクラブヘッドがネジで取り外しができてロフトやライ角度やフェースの向きまでが自分の好みに合わせて調節できるのだという。シャフトはやけに長いし、7番ウッドや9番ウッド、さらにユーティリティなる見たこともないクラブまでセットされている。完全に浦島太郎である。日本はどうなっとるのか!