平成15年12月1日 Vol 92
今年のミカンもおいしいよ
 昨年は思わぬ不作でご迷惑をおかけしました。ことしはバッチシです。
 きょうから収穫を始めました。近くの人は遊びがてら自分で採りに来てください。朝から晩まで働くので忙しくて持って行けませーん。
 遠くの人には送ります。いつ頃送れとご指示ください。
 もちろん、完全無農薬。
 よそのミカンのように器量よしじゃないけど、甘くてちょっと酸っぱい、『昔の味』がするミカンです。
 長崎のこだわり料理人・ヨシ坊なんか、皮ごとバリバリかじって、「うまーッ!」なんて言います。店では、そのミカンを皮ごと使って、発酵させてパンを焼いたり、シャーベットを作ったりしています。これがまたうまいのよ。うちのミカンじゃなきゃだめなんて、うれしいことも言ってくれます。
 (ずいぶん宣伝するじゃないの、父ちゃん)
 
牡蠣がまたうまいんだな
 大分大きくなってきました。
 グリコーゲンもたっぷり入ってます。早く注文しないとなくなっちゃうよ、というのは嘘だけど、牡蠣の好きな人なら、尾戸の牡蠣食べなきゃ損するよ。これはホント。このあいだ東京の友だちに送ったら、「殻つき牡蠣なんて初めて。殻のむき方がわからないよー」と電話してきた。そうだよね、町の人は、殻をむいてそのままペロッとか、炭火で焼いてプシューとかいってる熱々牡蠣を食べるなんてないんだね。いちばんうまい食べ方をしないなんて、もったいないよ。まあでも、カキフライや蒸し焼きでもうまいけどね。

ボジョレーもおいしいね
 おいしいワインと、おいしいパンと、おいしいチーズと、おいしい料理と、愛する人と、親しい友と、楽しい会話があると、そんな晩はほとんど決まって酔っぱらっちゃうね。
 親しい友が加わらない夜は飲み過ぎるということはないけれど、それでも欠けたのがそれだけなら、ほろ酔いはまず保証される。ワインは、ディナーだけでなく、たとえ午後に嫌なことがあったとしてもその日一日を優雅な気分にしてくれる。そして、ついつい忘れかけていた人への愛とか、自然への感謝の気持ちとかも思い出させてくれる。だから、うまいワインって、いいよね。
 ことしのボジョレー・ヌーボー、おいしいね。いや、いつだっておいしいけどさ。 

青年心地よい汗を流す
 それでも少年は、野球が好きだった。高校時代、2度甲子園に行っている。2度行ってるが2度ともベンチの裏までで、ついにベンチに座ることはなかった。ベンチ裏で裏方に徹し、選手とは違う角度からゲームを見た。先輩には、いまヤンキースで活躍している松井がいた。
 高校を卒業して海を渡った。大リーグではなく、語学の道を選んだ。フロリダとハワイの大学で勉強した。バットは置いた。豊かな自然に囲まれた環境の中で自炊生活をするうちに、卒業したら自分も大地に根を張った暮らしをしようと思うようになった。
 「たまたまインターネットで、『田舎者』と検索したら、金子さんが出てきたんですよ」
 「田舎暮らし狂想曲はぜんぶ暗記しています」
 遠路訪ねてきた。アメリカ土産の『ジェントルマン・ジャック』を飲み交わしながら、夢を語る。
 翌日は、朝からミカン園の草払いと枯れ枝切り。持参した作業着に着替えてテキパキ働く。合間にミカンをばりばり食う。「酸っぱくてうまいっすね」
 午後は釣りに出たがボウズ。カゴも見に行ったがメバルが1匹。波が暴れているので漁は休み。夜は牡蠣。若者は食いっぷりが気持ちいい。牡蠣殻が山になる。
 翌日は、鶏小屋づくり。チェーンソー、ドリル、ノミの使い方を教える。土台と柱が完成したところで時間切れ。「また来ていいっすか」「いいよ」
 夢を持つ若者は、さわやかだ。思っていれば必ず夢は実現する。がんばれ青年。
 
老人は脂汗を流す 
 肩を痛めた老人は、膝も痛めていた。
 肩の激痛はいくらか和らいだものの、膝の痛みはますます激しさを増し、ついに我慢の限度を超えた。歩行不能で脂汗。「もう、だめだ!」。近くの整形外科へ。
 レントゲン。鍼とレーザービーム。そして漢方薬。「これでしばらく様子を見ましょう」「ハイ」
 膝痛にはレッグエクステンションがいいと聞いていたので、痛いのを我慢して、よしゃあいいのに、3`の鉄アレイでがんがんやって、バイクをバリバリこいだら、炎症を起こしちゃったらしい。痛えの、イテぇの。
 「いつまでも若くはないのよ」「ハイ」